近未来最先端軍事テクノロジー




[無人攻撃兵器]

■[無人兵器]
無人兵器は広義には第二次世界大戦のドイツ軍が開発したV1・V2ロケットから現在のミ
サイルに至るまで、ベトナム戦争で投入されたRPV(Remotely Piloted Vehicle)遠隔操縦
機から高度に発達したUAV(無人航空機)やUGV(無人陸上車両)・UUV(無人潜航艇)、
機雷掃海用の有索無人掃海ロボットも範疇に入る。 狭義には一回限りの使い捨てとなる
ミサイルとは違い何度も使用が可能なロボット兵器を無人兵器としている。現在では高度
に自律した無人兵器を指すのが通例となりつつある。


■[無人ロボット兵器の運用]
無人のロボット兵器の運用は人間が行う軍事作戦にはあまりにも危険が伴なう任務を代
わって行うのが主任務で、UAVでは、主に偵察・索敵・目標捜索・攻撃目標の選定・攻撃
目標レーザー照射・弾着観測誘導・攻撃損害評価・重要エリアの監視・無線中継・合成開
口レーダーによる戦場監視、UGVでは前方戦場監視・地雷原啓開処理、UUVでは機雷
掃海・海浜及び港湾施設の偵察等が上げられる。


■[UAV(Unmanned Air  Vehicle : 無人航空機 )]
UAVは無人飛翔体或いは無人航空機と呼称される遠隔操縦又は高性能コンピューター
を搭載し自律飛行を行う無人の航空機である。 民間・軍用ともにUAVと呼ばれるが米国
国防省防衛高等研究計画局(DARPA)と国防航空偵察局(DARO)はCIAと共同で空か
らの偵察任務を有人機に代わって行う無人偵察機の開発と導入を目指した「ティア計画」
を推進し目的別に中高度・高高度用の偵察用UAVを開発している。これらはURAVと呼
ばれ敵性領域を3次元的に偵察行為が出来る事から、空軍のみならず陸軍・海軍・海兵
隊でも導入され、世界各国の諸軍隊でもURAVによる偵察が主流となりつつある。 UAV
は有人偵察機とは違い低コストで運用が可能で、その特性を活かして長距離・長時間の
滞空能力でリアルタイムの偵察活動を行う為、昼間用CCD内臓TVカメラ・FLIR(前方監
視用赤外線装置)・TE-SAR(戦術滞空合成開口レーダー)等を搭載し目標領域の偵察
監視活動を行う。

Photo by US.AirForce
RQ−4AティアIIプラス グローバル・ホーク

Photo by US.AirForce
RQ−1AティアII  プレデター



(回転翼UAV)
固定翼型のUAV以外にも垂直離着型の回転翼UAVも注目されている。VT−UAVと呼
ばれ、場所を選ばず離着陸できる事から、固定翼UAVと違い回収機及び着陸制御装置
が必要ない為海軍の艦艇で運用できると期待されている。VT−UAVでは、ヘリコプター
型やタグテッド・ファン型が開発されており米海兵隊でも都市型戦闘で運用する想定でV
T−UAVを試験的に導入している。

Photo by Bombadier Services Corp.
ボンバーディール・サービス社(カナダ)
CL−327 ガーディアン

Photo by Bell
ベル社(米国)
イーグル・アイ

Picture by Sikorsky
シコルスキー社(米国)
サイファーII

Picture by Sikorsky
シコルスキー社(米国)
ドラゴン・ウォーリア



■[UGV(Unmanned Ground Vehicle : 無人陸上車両 )]
無人の陸上車両は、偵察能力ではUAVに劣る為極至近距離の偵察にしか活用されない
が、有人では危険が伴なう地雷原啓開作業やNBC汚染地域の情報収集や除去作業等
に今後期待がもたれている。 この他にも拠点防衛用の攻撃用UGV等が提案されている
が、敵味方識別方法等開発されるには課題が多く実現性は低い。
米陸軍が開発中のHMMWV-URGV
偵察・索敵用UGV
地雷原啓開作業用UGV



■[UUV(Unmanned Underwater Vehicle : 無人潜航艇 )]
UUVは、遠隔操縦の有索UUVと高性能コンピューターによってあらかじめプログラミング
された海域及びコースを自律航行する無索UUVに大別出来る無人潜航艇である。 主に
海上・海中の機雷掃海作業に利用されている。 機雷処理作業には、機雷捜索用のUUV
と機雷を実際に処理するUUVが存在し前者では、米海軍の機雷偵察システムNMRSが
実用化している。さらに後継となる次世代機雷偵察システムLMRSは完全な自律航行が
可能で潜水母艦から発進後はあらかじめ指定された海域の機雷捜索を行い現在建造中
のヴァージニア級次期攻撃型原子力潜水艦で運用を開始される。

Photo by France NAVY
PAP−104 Mk(1〜5) MCM-UUV
フランスのECA社が開発した機雷処分用
UUVで機雷を探知後126kgの処分用爆
薬で処理する。 海上自衛隊をはじめ世界
各国の海軍で採用されている。

Photo by US.NAVY
米海軍がシーウルフ級攻撃原潜及び次期
攻撃原潜ヴァージニア級で運用を予定して
いる、魚雷発射管より発進する完全自律航
行型UUV「LMRS」。

Photo by US.NAVY
LMRSはボーイング社で開発中で潜水艦
より発進後は1200平方Kmの範囲の機
雷原を捜索し約50時間の稼動を想定して
いる。情報収集後は魚雷発射管から回収
される。

Photo by DARPA
攻撃型UUV 「MANTA」
米海軍が構想を提案中の「マンタ」計画で
は、偵察・機雷捜索・対潜水艦戦を行える
UUCVの開発が行われている。

Photo by US.NAVY
UUCV「マンタ」は、攻撃型原潜に外付け式
に3〜5艇ほど搭載され非常に危険な沿岸
部・浅海域での情報収集活動を行い母艦に
帰還する。 マンタは潜水母艦の開発も必然
となる為、実用化は2050年頃を見込んで
いる。



■[MAV(Micro Air Vehicle : 超小型無人機 )]
近年の技術革新で発達が著しいナノテクノロジーとMEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカ
ル・システムズ=微小機械システム)の分野に注目した米国国防省防衛高等研究計画局
(DARPA)が1990年代より研究を進めている超小型UAVでマイクロUAVとも呼ばれて
いる。 MAVは、大きさ(翼幅)がおおよそ15〜20cm以下、重量が10〜100g程度で、
滞空時間が1時間前後、飛行距離が約10kmで飛翔速度は秒速20m前後の飛翔体で
ある。現在は研究段階だが、将来的に開発されれば超小型軽量な為個人兵士レベルで
の携行が可能となり、極至近距離での偵察・前方監視・都市戦闘時の屋内捜索や迫撃砲
等の着弾確認で使用される事を想定している。 その他の用途としてはNBC(核・生物・化
学)兵器の汚染地域の情報収集、通信が困難な場所での無線中継、航空機パイロットの
脱出時における救難信号と降下地点の状況把握手段等に用いられる。しかし、動力源の
開発とペイロード(積載量)の確保、天候に影響を受けやすい等の課題が残されている。




Photo by Frontier
ヘリコプター型のマイクロUAV
大きさは約10cmほどで開発されるという。

Photo by DARPA
国防省防衛高等研究計画局(DARPA)と
NASAで提案されている、4ロータータイプ
のマイクロUAV

Photo by BICOREEOS
第一世代のマイクロUAVで、はばたき方式
のフラッピング型MAV、重量は36gしかな
いという。



■[無人兵器のメリット・デメリット]
最大のメリットは言うまでもないが、人的損害が発生しないの一言に尽きる。特に制空権
を掌握していない空域での有人機の行動は危険な任務で、ベトナム戦争末期では米軍は
、標的機(ドローン)を改造した無人機を多数投入し偵察活動に従事させ大きな成果を上
げている。航空機ではパイロットの養成に多大な時間と経費がかかり、ひとたび撃墜され
れば損害は計り知れない。また万が一にも脱出に成功し生存しても捕虜となった場合、政
治的に利用される場合があり、自国の世論を刺激する事が予想される。捕虜救出作戦等
で二次被害を被る場合も有りうるので航空機では顕著に無人化が発達している。
航空機の場合は人的損害だけではなく、その開発に時間とコストが莫大にかかる事から
も無人化の方向にシフトする傾向がある。 まず、無人化にする事で操縦席に関するあら
ゆる装置が不要となり、それに伴ない機体の小型化・軽量化が図られる。 逆にその分の
ペイロード(積載量)を増加する事も可能となる。 有人機では考えられない人間工学を考
慮しなくてよい機体デザインと人間の肉体限度を超えた20〜30Gの高G機動飛行と空中
給油によって長時間の飛行が可能となる。 一方でUAVをいくら高機動・長時間滞空能力
を実現させても有人機の様な戦術的空中格闘戦をこなす事は困難で対有人機戦闘は不
可能と考えられている。 UAVはある程度の防空任務を有人機に代わって補完する程度
に運用される。 UGVも同じく兵士が行うには危険が伴なう任務に対して無人化が進んで
おり偵察・索敵等はUAVの方が適している為その方面は極近距離のUGVが開発されて
いるに過ぎない。 機械化部隊では、偵察・索敵等の行為はある程度自動化されており偵
察用のUGVはあまり運用面でメリットが少ない。 UUVでは将来攻撃型の無人潜航艇が
開発される見込みで、その際攻撃型潜水母艦に搭載され敵性海域にて切り離され先行
して海底に潜んで水上艦・潜水艦を待ち構えて攻撃する。しかし海底に潜伏時の通信手
段は海流・海水温に影響されやすく、仮に長大な通信用アンテナを曳航しても漁業用の
網にかかる場合があり衛星を介したアンテナの搭載が必須となる。また隠密性を第一と
する海中戦においていかに敵味方識別を行うかも大きな課題となっている。UUVの本格
的な攻撃型は、搭載潜水母艦の開発も行わなくてはならず、早くても2050年頃と見込ま
れている。 



■[無人攻撃兵器]
今後、無人ロボット兵器には攻撃能力が付与され、ある程度の人的損失を避ける為に戦
術的任務を補完すると期待されている。2001年のアフガニスタン空爆では米軍とCIAの
共同作戦で、ヘルファイアで武装したUAVプレデターが投入されTVカメラで確認したその
場で攻撃した事は記憶に新しい。 この様に、今後は全ての無人兵器に武装が施される
と、そのメリットは絶大で将来的には主力兵器となる可能性すらある。 近未来的には、攻
撃型無人ロボット兵器同士の戦闘がメインとなり、人間は対UAVや対MAV戦闘に、主眼
が置かれる。


(UAV)
UAVの攻撃型は米国国防省防衛高等研究計画局(DARPA)UCAV(無人戦闘航空機)
計画として推進中で1999年にはボーイング社が選定されている。ボーイング社のX−4
5A/B UCAVはスモールスケールの実験機が初飛行に成功しており、実用化の目途は
たった。 米海軍はこれをヒントに独自のUCAV-N計画を推進中で空母での運用を想定
しておりボーイング社のX−46とノースロップ・グラマン社のX−47A Pegasusが候補に
上がっている。


(UUV)
米海軍が構想を研究している攻撃型UUVは「MANTA」計画で、平たく扁平な形状をした
攻撃型無人潜行艇で、潜水母艦に搭載され発進した後は自律航行で目標海域の沿岸部
浅海・海浜の機雷及び障害物を偵察し排除する能力とともに、対潜水艦戦も視野に入れ
た武装も搭載される。


(MAV)
MAVの開発はDARPAが中心となって行われているが、技術的課題が多いため民間及
び大学の研究機関等と共同で行われている。 将来的に技術課題を克服すれば攻撃型
のMAVも開発される予定で、その構想も打ち出されている。攻撃型MAVではペイロード
(積載量)が限定される為、極めて原始的な手法が採用され、小動物や昆虫からヒントを
得ている。 また、超小型超軽量のコンピューターを搭載し蜂や蟻の様な「群知能」を持た
せて集団的攻撃戦術も提案されている。 いずれにせよ近未来にはMAVは実用化される
と攻撃型MAVは脅威となり対MAV戦闘に重点が置かれる。


2001年のアフガニスタン空爆でプレデター
の前方監視用赤外線装置で捉えられた、防
空用対空砲陣地。

Photo by US.AirForce
アフガニスタンでCIAは武装型プレデターを
投入し成果を上げた。画像はRQ−1Aだが
今後生産される全てのプレデターには武装
が施され、偵察を意味する「R」のかわりに
MQ−1の制式型式が与えられる。
FLIR(前方監視用赤外線装置)は昼夜を問
わず敵性地域の偵察活動が行える。この画
像は昼間撮影されたもの。
今後、危険な敵領空内の戦術的作戦には、
偵察型・攻撃型UAVが大規模に投入される

Photo by US.AirForce
空軍の科学技術顧問委員会(SAB)が、提
案している攻撃型UAV構想「SAB-UAV」

Photo by DARPA
DARPAのUCAV研究計画と空軍のSAB
計画を統合して開発されたX−45A UCA
Vで試作型。

Photo by DARPA
X−45B型、まだ開発中だが、胴体内には
ウェポン・ベイを装備し攻撃兵器を搭載出来
る。

Photo by Boeing
海軍が提案している「UCAV-N」計画では
空母に離発着できるUCAVを研究中で、こ
ちらはボーイング社が提案しているX−46

Photo by Northrop Grumman
同じく海軍の「UCAV-N」計画でノースロッ
プ・グラマン社が提案しているX−47Aペガ
サス。

Photo by US.NAVY
海軍の潜水艦で運用される攻撃型UUCV
マンタ。

Photo by DARPA
小型高性能コンピューターで「群知能」を搭
載し集団的な攻撃を行えるMAV。極めて原
始的な攻撃手法だが、個人兵士レベルでは
大きな脅威となる。








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