JSF(Joint Strike Fighter )統合攻撃戦闘機計画



Photo by Lockheed Martin


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最後の有人戦闘機開発と言われるJSF計画は、二カ国
五軍に採用される巨大プロジェクトで、共通設計によって
大幅に調達コストを下げており、ステルス性と空中格闘戦
も行なえる攻撃機として多種多様な任務を担う事になる。
(左上)米空軍に採用される F−35A型
(右上)米海兵隊・英空・海軍に採用される F−35B型
(左下)米海軍に採用される F−35C型

型式 F−35A(X−35A) F−35B(X−35B) F−35C(X−35C)
所属 米空軍 米海兵隊・英空/海軍(*A) 米海軍
タイプ CTOL
(通常離着陸型)
STOVL
(短距離離陸・垂直離着陸型)
CV
(艦上発着型)
全長 15.41m 15.50m
全幅 10.97m 13.12m/9.10(*1)
全高 4.6m
主翼面積 42.74u 57.6u
空虚重量 12426kg 13924kg 13888kg
最大戦闘離陸重量 22680kg 27216kg
ペイロード 5850kg 7650kg
エンジン(*2) P & W F119-PW-611C

P & W  F135
P & W F119-PW-611S
Rolls-Royce lift fan
P & W  F135
P & W F119-PW-611C

P & W  F135
エンジン推力 18144kg 18144kg
8200kg(lift fan)
18144kg
燃料容量 6750kg 7200kg
最大速度 マッハ1.8〜1.5 マッハ1.4 マッハ1.5
戦闘行動半径 1200km以上 1000km 1112km
最大上昇限度 19240m
配備予定機数
1763機

609機(USMC)
90機(UKRAF)
60機(UKRN)
(*B)

480機

調達価格(*3) 約34億 約42億 約46億
乗員 1名
製造 Lockheed Martin Lockheed Martin Lockheed Martin
(*1) 艦載機の艦内収納時、翼端折りたたみ状態のウィングスパン
(*2) エンジンはプロトタイプはF119系、量産型はF135を使用 C型は全て推力偏向型ノズル装備
(*3) 2001年USドルを120円で換算 価格は当時の数値
(*A)米空軍は、2004年3月にB型(STOVL)の採用を決定詳細は→こちら (2004/04/17追記)
(*B)米空軍はA−10攻撃機(360機保有)の後継に採用。導入する機数は現在は未定 (2004/04/17追記)
(注) 「←」印は左に同じ値です。
(注) 諸元は一部不確定な箇所が有りますが管理人の私見により平均値を掲載しました。

武装 M61・A2 20mmバルカン機関砲×1 400発
27mm単銃身機関砲×1 
以上の装備はA型のみで上記の何れか一つが装備される


AIM−9M/Xサイドワインダー2000(短距離空対空ミサイル)×2
AIM−120 AMRAAM(中距離空対空ミサイル)×2
A/B/C型ともに空対空ミサイル最大携行数は2発

1000lb級爆弾(通常・JDAM)×2(A/B/C型)
2000lb級爆弾(通常・JDAM)×2(B/C型)
A/B/C型ともに爆弾最大携行数は2発

F−35 A/B/C型の最大武器搭載数は空対空ミサイル2発と爆弾2発が可能




■JSF(Joint Strike Fighter )統合攻撃戦闘機計画概要

(ASTOVL研究計画)
DARPA(米国国防省防衛高等研究計画局)は、米海兵隊が使用しているAV−8BハリアーII
(*1)が2000年頃に耐用年数を迎
える為、1989年代より垂直離着陸機の研究が開始され、その後先進航空技術部局に専門のプロジェクトチームが発足し、「先
進短距離離陸・垂直離着陸(ASTOVL)」研究計画がスタートした。 この計画には、NASA(米航空宇宙局)と米国航空関連メー
カーが参加し、共同でエンジン
(*2)及びシステム開発と飛行ソースコードの開発に着手している。

(*1)世界初の実用VTOL(垂直離着陸)機ハリアーの発展型がAV−8BハリアーIIで、マクダネル・ダグラス社とブリティッシュ・エ
   アロスペース社(BAe)が国際共同で開発した、まったく基本設計の違う機体。
(*2)当時開発が行なわれていたYF−22(現F−22、F/A−22)に使用されていたP&W F119ターボファンが使用されている。


(CALF:Common Affordable Lightweight Fighter)共通調達軽量戦闘機計画
米空軍は、1991年の湾岸戦争の戦訓を取り入れて、航続距離の増大とSEAD(Suppression of Enemy Air Defence)敵防
空網制圧作戦を容易にするステルス性を重要視した、通常離着陸型のCTOL機と短距離離陸・垂直離着陸型のSTOVL機の開
発を共通の設計を基に低コスト軽量戦闘攻撃機開発計画をスタートしている。
1993年3月には、このプロジェクトにマクダネル・ダグラス社及びロッキード・マーティン社が研究契約を取り交わし、ボーイング社
とノースロップ・グラマン社が設計研究に参加している。


(Joint Advanced Strike Technology)
1995年にDARPA主導の元、ASTOVL研究計画とCALF計画及び海軍次期攻撃機開発計画等が統合され、より本格的に次世
代の軽量・ステルス性を兼ね備えた高性能戦闘攻撃機の開発を目指した「統合先進攻撃技術(JAST)」構想に発展した。 JAST
計画では、空軍のF−15Eストライクイーグル戦闘爆撃機及びF−16ファイティングファルコン、A−10サンダーボルトII攻撃機、
海軍のキャンセルされたAー12、AX、現有のF/A−18 B/C ホーネット及びE/F スーパーホーネットの後継として。海兵隊のAV
ー8BハリアーIIの代替機として検討されており、この計画で開発される次世代の攻撃機1機で、全てを更新する極めて野心的な計
画となった。しかし、空軍は航続距離とステルス性を重視したCTOL機(通常離着陸型)、海軍は空母での運用を目的のCV機(艦
上機)、海兵隊ではSTOVL機(短距離離陸・垂直離着陸)を要求しており、同計画では低コストを実現する為に基本設計は同じに
STOVL機を原型として、その垂直離着陸機構を取り除いたスペースに燃料や兵装を搭載するスペースとし、CTOL機とCV機の派
生型を設計するスケジュールを立てている。
JAST計画には、ボーイング社、ロッキード・マーティン社、マクダネル・ダグラス社、ノースロップ・グラマン社、ブリティッシュ・エアロ
スペース社が参加している。


(Joint Strike Fighter 統合攻撃戦闘機計画)
1996年11月16日、米国防省は各社から出された試案の中からボーイング社とロッキード・マーティン社の方式を選択、米空軍、
米海軍、米海兵隊と英国海軍で共用できる次世代攻撃戦闘機の試作機製造が開始された。 国防省は、ボーイング社の試作機
に「X−32」、ロッキード・マーティン社の試作機には「X−35」の名称を与えている。 また、プロジェクト名も「JAST」より明確な次
期攻撃機選定プログラムとして「JSF(統合攻撃戦闘機計画)」と変更している。JSFでは、代替機種が広範な為調達機数が増加
する事になり調達コストを抑制する最大メリットがある。 米空軍1763機、米海軍480機、米海兵隊609機、英空軍90機、英海
軍60機が予定されており、これだけでも3000機近くに達するが、その他に海外向けに生産されたF−16を採用した21ヶ国は潜
在的なJSF採用国となり、JSFの調達機数は合わせて5000機近くに達すると見込まれている。またJSF後の次世代の攻撃機は
DARPAで無人攻撃機(UCAV計画)が検討されており、最後の有人攻撃戦闘機開発となる。21世紀前半の巨大プロジェクトで最
後の有人攻撃戦闘機開発と言う事で、ボーイング社とロッキード・マーティン社の競合は激烈を極めており、また航空関連メーカー
の再編・淘汰が加速している。第一段階の技術立証フェーズに選定されなかったマクダネル・ダグラス社はボーイング社に吸収され
、ノースロップ・グラマン社、ブリティッシュ・エアロスペース社は、1997年にロッキード・マーティン社のプロジェクトチームに参加す
る事を表明している。諸外国軍もJSF計画に参加する事を決定しており、イスラエル、トルコ、シンガポール、デンマーク、ノルウェー
、オランダ、カナダ、イタリアが量産型の引渡し契約に署名している。またオーストラリア、フランス、ドイツ、ギリシア、スペイン、スウ
ェーデンなども強い関心を示している。
米国防省は、2001年10月26日にJSFの発注先として正式にロッキード・マーティン社を選定し本格的な開発・生産(EMD)段階
に移行している。ロッキード・マーティン社では、2003年までに技術アプローチを終了し運用評価試験を経て、現在F−16を生産し
ている同社のフォトワース工場で2005年から生産を開始し、2008年以降に米空軍に納入予定で、2010年には米海兵隊に納入
、英海軍には次期空母(CVF)が2012頃年完成の時期に合わせて配備される予定である。

Photo by Lockheed Martin

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米海軍向けF−35C(CV型)空母着艦時に使用するア
レスティング・ワイヤー・フックが見える。

 英海軍向けF−35B(STOVL型)下方にインヴィンシブ
 ル級空母が見えるが、スキージャンプ台で短距離発艦し
 垂直着陸で帰艦する。



■JSF ロッキード・マーティン X−35
2001年にJSFの主契約企業に選定されたロッキード・マーティン社は本格的な量産機の開発に着手しているが、その原型とな
るデモンストレーター(技術実証機)は1996年より開発に着手し、原型基本設計を海兵隊向けのSTOVL機(短距離離陸・垂直
離着陸)で行なっている。 試作1号機は、STOVLシステム機構を取り除いた空軍向けCTOL機(通常離着陸型)で製造されて、
2000年10月24日に初飛行に成功している。  ロッキード・マーティン社は、この空軍向けCTOL機をX−35A型として、海兵隊
向けのSTOVL機をX−35B型、海軍向けCV機(艦上機)をX−35C型として開発を進める事となる。 先行して開発されるのは
A型とC型で技術的ハードルが高いB型はA型の飛行試験後に改修して開発される。
A型は初飛行後、2000年の11月21日に超音速飛行試験を行い成功している。その後最大速度域試験でマッハ1.5を達成し
ている。2000年12月16日には、デモンストレーター2号機X−35C型が初飛行に成功。2001年2月にA型の試験飛行を終了
し生産型(PWSC)の設計開発段階に移行。A型はB型に改修作業を開始する。2001年6月24日X−35B型の初飛行成功。
7月20日にSTOVL実証試験が行なわれ1フライトで短距離離陸と垂直着陸を成功する。2001年10月26日にロッキード・マー
ティン社はJSFの主契約企業に選定されA型の本格的な量産型開発に着手する。

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(機体設計・エンジン)
機体及び主翼セクションはA/B/C型共に互換性を持たせた共通設計となっており、各型の運用目的に合わせて設計に変更が
加えられている。 主翼は、強度を保つ為一体成形の複合材製で海軍向けのC型は航空母艦進入時の低速飛行安定性を確保す
る為翼面積を大きく取っている。 また艦内での収納を容易にする為翼端を折りたためる構造になっており、機体各部には石弓構
造の補強が成されている。機体デザインは、コスト面を抑えつつ高次元ステルス性を達成する為に平面を多用し全ての傾斜の角
度は胴体面・尾翼で平行である。機体各部の接合部やドアパネルは鋸状のジグザグになっているが、これは機体表面の僅かな
凹凸もレーダー波を反射する為、それらを避けエネルギーを分散させる事を目的としている。 全ての鋸状の角度は胴体や翼の角
度と平行となっている。海軍向けのC型では特にステルス性が要求されている為、 最もレーダー波を反射しやすいエアーインテー
クやエンジン排気口は電波を吸収し熱変換する特殊な素材が使われておりA/B型よりRCSが低減されている。

Photo by Lockheed Martin

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 最初に開発されたロッキード・マーティン社のX−35A型
 
 
 
 B型に搭載されるプラット&ホイットニー社のF135推力
 偏向型エンジンとシャフトで駆動されるリフト・ファンエン
 ジン



Photo by Pratt&Whitney

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 長時間燃焼試験を行なう通常型F135エンジン
 

 水平飛行及び通常飛行時はノズルは水平に固定される。
 


Photo by Pratt&Whitney

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 B型では、短距離陸の際はノズルが45度下方を向く


 垂直離着陸時は排気ノズルを90〜95度下方に偏向



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Photo by Rolls−Royce
 理論的には高効率の浮揚力を発生させるリフト・ファン
 画像はロールス・ロイス社製リフト・ファンエンジンの装
 着作業シーン


 大出力ターボファンエンジンはシャフトでリフト・ファン
 エンジンを駆動するが通常飛行に移行するとクラッチ
 によって出力を遮断する。上はロールス・ロイス製油
 圧クラッチ


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 B型後方、排気ノズルが下方を向けている


 垂直着陸を行なうB型



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 A型は水平カナードを装着した発展型が開発され空中
 運動能力を飛躍的に向上させる


 米海軍向けC型はシリーズ中最も調達コストが掛かるが
 ステルス性、攻撃能力はトップクラスを誇る



(システム・アヴィオニクス)
対地・対艦・夜間低空侵入・重防御空間進入と多彩なミッションを行なうF−35には最新のアヴィオニクス及び火器管制システム
が搭載されている。 操縦システムには英国BAeシステムズ社のフライトシステムが採用されスロットル及びサイドスティックコント
ローラーを担当し、カイザー・エアロスペース&エレクトロニクス社と米国系イスラエル防衛機器製造企業エルビット社が共同で開
発した統合型ヘッドアップ・ディスプレイヘルメットを担当している。これは、ロッキード・マーティン社が開発した火器管制システム
EOTS(Electro Optical Targeting System)と連動しておりターゲット情報とフライト情報がヘルメットのバイザーディスプレイに
表示される。 EOTSは、ノースロップ・グラマン社が製造したDAS(分散センサーシステム)から得られる各種情報を統合的に処
理し最適の攻撃方法を選択出来る最新の火器管制システムでFLIR(前方監視用赤外線装置)・CCDTVカメラ・近赤外線レーザ
ー照射装置等からなっている。 航法システムには、ハニウェル社開発のINS/GPSが搭載され、GPSは航法と精密射撃管制に
使用される為レイセオン社の24チャンネルGPS装置が使用される。慣性航法システムをサポートする通信機器・CNIアンテナ類
はステルス性を確保する為全てが胴体・主翼垂直尾翼内に内蔵されており、ベル・エアロスペース社が製造した航法・敵味方識
別・通信・ミサイル発射警戒システムアンテナを装備している。


(武装)
F−35は代替する機種が多彩で、また二カ国5軍に採用される為多用途(Multi Role)性と多種任務(Multi Mission)をこなせ
る性能を要求されており、搭載される武装も空中格闘用から爆装まで幅広いものとなっている。空軍向けA型では唯一空中格闘
用M61・A2の発展型27mm機関砲を搭載する予定で近距離空中格闘戦を行える。B/C型ではスペースの問題から内臓型の
機関砲は搭載されないが、オプションとして外装式の機関砲搭載案が検討されている。 空対空戦闘ではA/B/C型共通で近
距離用にAIM−9M/Xサイドワインダー2000(赤外線誘導)と中距離用にAIM−120 AMRAAM(アクティブ・レーダー誘導)が
併用又はいずれかを計2発装備する。攻撃機としての特性が色濃いF−35は爆装ミッションを行なう為A/B型では1000lb(ポン
ド)級爆弾2発を装備し、JDAM(統合直接攻撃弾薬)を装備する。海軍向けC型では、開戦初日(First Day of War)の第一撃で
使用される為、2000lb(ポンド)級爆弾を搭載出来るように設計されている。その他にもJSOW(統合スタンドオフ兵器)や各種レ
ーザー誘導兵器も運用可能である。 全ての攻撃兵器は、ステルス性を確保する為胴体内のウェポンベイ(兵器倉)内に収納され
るが、危険度の少ないミッションでは、主翼下2ヶ所のハードポイント(パイロン)に装着し携行兵器数を増やせる事が可能となって
いる。



■F−35A CTOL機(通常離着陸型)

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空軍がA型に要求するのは、作戦域外からの航空基地を使用して行なう為の航続距離の長い機体で、ある程度の空戦能力とス
テルス性を兼ね備えた攻撃機である。空軍では開戦当初の敵防空網制圧作戦にはよりステルス性の優れたF117や今後実戦
配備されるF/A−22等が使用される為F−35A型にはそれらを補完できる程度のステルス性を期待している。具体的には空中
運動性能を損なわない程度の正面及び下面のステルス性に重点が置かれ、側面及び後面のステルス性は妥協している。
しかしながら、開戦当初の第二波空爆に使用されるとは言え危険な任務に変わりはなく、ステルス性を確保する為搭載爆装は
全てウェポンベイ内に収められる事になる。制空権を完全に掌握した後に、ステルス性は損なわれるが主翼下2ヶ所のハードポ
イント(パイロン)に兵器を搭載する事が出来る。
空軍向けに開発されるF−35A型は、基本設計をB型から発展させたものでSTOVLシステム機構を取り除いたスペースに燃料
タンクを増設し航続距離を増大させ、ウェポンベイ(兵器倉)のスペースも拡張し、唯一A型のみで固定武装の格闘用機関砲を搭
載している。



■F−35B STOVL機(短距離離陸・垂直離着陸)

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米海兵隊、英海軍及び英空軍に採用されるB型は、STOVL機構システムを搭載する為操縦席後方の重心点に垂直に配置され
たロールス・ロイス社製二重反転式ファンが、エンジンのターボファンとクラッチ付きシャフトで駆動されコンプレッションエアー(圧
縮空気)を機体下方に排出して浮揚力を生み出すシャフト駆動ファン方式を採用している。 B型のシャフト駆動ファン方式では、機
体重心中央に配置されたファンが全体の65%の浮揚力を負担する他、ロシア ヤコブレフ設計局のYakー141フリースタイルVT
OLの技術提供を受けて新しく開発されたP & W F135はエンジン後方のノズルが偏向式で水平から90〜95度
(*3)下方に可動
して浮揚力の30%を負担する。 その他に水平安定性を確保する為にエンジン排気推力の一部は機体側面から排出され垂直離
着陸時の機体制御用に浮揚力の5%を賄っている。 米海兵隊では、前線での運用を想定している為、航続距離及びステルス性
より柔軟な運用が可能なSTOVL機を要求し、前線航空基地を構築すれば海兵隊の円滑な近接航空支援(CAS)が可能となる。
英国海軍では、インヴィンシブル級通常動力型空母(*4)での運用を想定しており、同空母ではスキージャンプ台を利用して短距離
で発艦し垂直着陸で着艦する。その為B型では推力偏向式ノズルを45〜65度下方に向けて短距離離陸発艦し、帰艦時にはシャ
フト駆動ファン方式と推力偏向式ノズルを下方に向けて浮揚力を確保しながら着艦する事となる。ハリアーの様にダイレクト・リフ
ト方式の場合エンジン排気を直接浮揚力としている為高温の排気が甲板及び甲板作業員にダメージを与えてしまうが、F−35B
型では浮揚力の大部分は空気を利用している為影響は少ないメリットがある。

2004年3月
(*5)米空軍は、A−10攻撃機(現在約360機保有)の後継としてB型の採用を決定し、順次配備計画を行なうとし
ている。配備機数等詳細は今のところ未定だが、アフガニスタンやイラク戦争で前線付近の航空基地からの作戦は多大な戦果を
上げ、その有用性が改めて実証されている。 その為前線付近及び構築された簡易航空基地等から短距離離陸・垂直離着陸出
来るB型が注目され、A−10の後継に選定されている。

(*3)この数値は、Yakー141の推力偏向式ノズルを参考にしており、F−35B型 P&W F119-PW-611Sは不明
(*4)英国海軍はインヴィンシブル級空母(現有3隻)の耐用年数2010年頃移行の次期空母FCV就役を2012年頃を予定してお
   り、実質的にはFCVでの運用が主となる見込み。F−35B型を40機搭載し、最大時は46機搭載する予定
(*5)この情報は、2004年4月17日に追記したものです。



■F−35C CV機(艦上発着型)

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海軍がF−35C型に要求するファクターはF−35シリーズの中で最も厳しいものである。第一に航空母艦で運用されるC型には
それに耐え得る機体構造が必要となり他の型より機体構造強度が補強されている。 低速進入安定性を確保する為主翼面積が
拡大されており、着艦時の操縦性を向上する為の尾翼面積も拡大されている。また着艦フックを装着する為機体構造の強度アッ
プと主脚の強度と荷重吸収力も強化されている。しかし、主翼及び機体構造の補強等の変更点はB型の基本設計から発展させ
たものでコスト面では調達共通性が同じ為極力抑えられている。
第二に海軍では、戦術運用面で敵防空網制圧の第一撃で使用される為、生存性も考慮に入れステルス性を重要視している。
海軍には、ステルス性を持った攻撃・戦闘機が無く開戦当初に行なわれる危険なヒーローミッション(英雄的任務)には是非とも
敵防空網を突破できる攻撃・戦闘機を必要としている為である。空母で運用する艦載機の為主翼面積が拡大されレーダー反射
断面積(RCS)が増加したが主翼前縁・後縁フラップにレーダー波吸収材を取り入れてF−35シリーズ中最もステルス性の高い
機体となっている。







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