アメリカ海軍 イージス巡洋艦 タイコンデロガ級


CG−63 カウペンス
A.Mk45 127mm単装砲
B.前部 Mk41 VLS(61セル)
C.SPY−1A / SPY−1B(D)
D.SPG−62射撃指揮アンテナ(127mm砲&スタンダード管制用)
E.OE82 衛星通信アンテナ
F.気象レドーム
G.Mk15 20mmCIWS ファランクス
H.ヘリコプター用データーリンク装置
I.TACANアンテナ
J.対空水上レーダー
K.ヘリコプター格納庫(2機収納)
L.SPG−62射撃指揮アンテナ(127mm砲&スタンダード管制用)
M.ヘリコプター甲板
N.後部 Mk41 VLS(61セル)
O.ハープーンSSM4連発射筒×2基



タイコンデロガ級 CG47〜CG73

満載排水量 CG47〜CG48 9590t
         CG49〜CG51 9407t
         CG52〜CG73 9446t

*CG アメリカ海軍の艦種記号でミサイル巡洋艦の意

全長:172.8m 全幅:16.8m 吃水:9.5m
主機関:COGAG ガスタービン4基 主軸:2軸
出力:86000hp
速力:CG47〜CG48 30ノット
     CG49〜CG51 32ノット
     CG52〜CG73 32ノット

兵装
127mm単装砲×2基 20mmCIWS×2基 25mm単装機銃×2基
12.7mm機関銃×4基 324mm3連短魚雷発射管×2基
ハープーンSSM4連発射筒×2基

Mk26ダブルエンダー発射機 / Mk41 VLS(垂直発射システム)
CG47〜CG51 スタンダードMR SAM/アスロックSUM 2連発射機×2
CG52〜CG73 スタンダードMR SAM/アスロックSUMトマホークSLCM用 VLS(61セル)×2基

*アスロック 対潜ロケット 先端にホーミング短魚雷を装備 


搭載機 SH−60等2機
乗員 358名





   
■タイコンデロガ級概要

ギリシャ神話の全知全能神ゼウスが、戦う女神アテナに与えた盾(Aegis)は、一切の邪悪から処女神アテナを守
るところより由来する。イージス艦は、その名の通り、フォークランド紛争でいよいよ注目された対艦ミサイルより艦
隊を防衛する為に登場した現在最強を誇る水上艦艇である。
イージス艦の最大の使命は、空母機動艦隊を敵ミサイル及び航空機から防衛する事だが、最新のイージス艦は、
湾岸戦争や米国が行使する対テロ戦争のアフガニスタンやイラク等で行なわれたトマホーク巡航ミサイルを使用し
た陸上攻撃能力に特化し、将来的には、その能力を活かしてMD(ミサイル防衛システム)の一翼を担う。タイコン
デロガ級1番艦が建造された1983年は、冷戦真っ只中であり旧ソ連の大艦隊が放つ対艦ミサイルの脅威と外洋
でのSSN(攻撃原潜)との対決に備えるという大きな任務が課せられていたが、冷戦の終結後湾岸戦争に見られ
る地域紛争の対処が迫られる時代背景によってイージス艦の使命は、艦隊防空から陸上攻撃に偏重し、第三世
界に拡散する弾道ミサイルに対抗する為の迎撃能力も付与される事となる。

イージス艦の中枢は、敵ミサイル及び航空機を3次元的に捕捉するSバンド帯フェーズド・アレイ・多機能レーダー
(SPY−1A)で、艦橋前部と右側面に後部構造物の後部と左側面に合計4面、SPY−1A平面レーダーが取り付
けられており、半球360度500kmの空間を警戒できる。 SPY−1Aレーダーは八角形の平面体に5000個の位
相シフターと呼ばれるレーダー・エレメント(放射素子)がそれぞれ独立して走査する為敵ミサイル及び航空機の位
置・方角・速度を瞬時に、しかも大量に捜索・探知・追尾出来る。 従来のレーダーの様にレーダー波を回転するの
では無くそれぞれのエレメント素子が個々に発信パターン・時間を制御する事で平面アンテナ一面で上下左右90
度の範囲を走査し最大目標探知能力は200以上可能である。
搭載されるSPY−1レーダーは、段階的に性能向上が施されており、1番艦CG47〜58の12隻にはSPY−1A
レーダー、CG59〜64の6隻には、重量を軽減し低空で接近する対艦・航空機の探知能力を大幅に向上させたS
PY−1Bに換装。CG65〜73の9隻には、さらに能力を向上させたSPY−1B(D)が搭載されている。このSPY−
1A/B(D)の探知した敵ミサイル・航空機を効果的に攻撃する
のが戦闘指揮決定システムのCDS(Command and Decision System)Mk1である。CDSは、SPYー1レーダー、
対空水上レーダー、ソナー、ミサイル監視衛星、味方艦・航空機より得られた情報を統合し、脅威目標の選別、攻
撃順位を自動的に意思決定し攻撃する能力を持ち、WCS(Weapon Control System)の火器管制コンピューター
UYK−(7)/(43)/(44)によって効果的に行う事が可能である。 最新型のUYK−(43)/(44)は同時に20の
目標を攻撃でき、しかも自艦の兵器システムのみならず僚艦及び航空機の管制コンピューターに攻撃指令を出す
事も可能である。従来の回転式レーダーより格段に探知能力が向上したSPY−1とCDSにより、効果的に攻撃し
得るウェポンシステムとして開発・導入されたのがVLS(垂直発射システム)である。 CG47〜CG51まではMk
26連装発射機を装備しているがシステム的に多くの攻撃目標に対処できない為、64セルの発射機を垂直に配し
前後合わせて122セル装備するVLSがCG52〜73までが採用装備している。SPY−1等で高速で探知処理さ
れた目標情報を速やかに攻撃態勢に移行させるには、Mk41VLSによる同時多目標攻撃システムが最適だった。



■最新型のタイコンデロガ級
イージス巡洋艦タイコンデロガ級は就役から20年が経過し、また要求される任務も時代の変遷によって多種多様
となった為、マルチミッションを行なえるように順次改良を行なう米海軍主導の巡洋艦改造プロジェクトCCPが実施
される事となる。
タイコンデロガ級の各タイプは、初期建造タイプ(CG47〜51)でMk26連装発射機を装備したベースライン1。次の
(CG52〜58)ではタイムラグの無い同時多目標攻撃が行なえるVLS(垂直発射システム)が導入されたベースラ
イン2。重量軽減タイプ(CG59〜64)ではレーダーが高性能SPY−1Bに変更されベースライン3となっている。
最終建造タイプ(CG65〜73)のベースライン4では、さらに能力向上したSPY−1B(D)が搭載され戦闘統制ソフ
トウェアも最新型に更新されている。
巡洋艦改造プロジェクトCCPでは、旧式となったベースライン1をMk41VLSに換装し陸上攻撃に特化したトマホー
ク巡航ミサイル発射艦とし、長距離精密艦砲射撃が行なえる62口径127mm単装艦載砲Mk45mod4に換装し
て現在開発中の長距離誘導砲弾ERGMを発射可能としている。さらに、陸上攻撃力を強化するために2機のAH−
1W/Z スーパー・コブラ搭載する予定である。 ベースライン2では、MD(ミサイル防衛システム)を導入する為のレ
ーダーが換装され、SPY−1Aから最新型で開発中の低消費電力型アクティブ・フェーズド・アレイ・多機能レーダS
PY−2が搭載される。ベースライン3では、レーダーを最新のSPY−1B(D)に変更し、火器管制コンピューターUY
K−44に換装する事により大気圏外で迎撃可能なSM−3スタンダードミサイルの管制誘導を行なえるようになる。
ベースライン4では、すでにMD(ミサイル防衛システム)の実験艦として設計当初から導入されており、変更点は
地域紛争に対処する為62口径127mm単装艦載砲Mk45mod4の導入と2機のAH−1W/Z スーパー・コブラの
搭載によって陸上攻撃力の強化が図られる。 さらに米海軍は、全ての艦船及び航空機・軍事衛星から得られる情
報を各々のプラットホームが共有出来る共同交戦能力(CEC:Cooperative Engagemeent Capability)を導入し
、デジタル・データーリンク・システムによって得られた各種情報は、統合され最も効率のいい攻撃方法が選択され
る。 例えばそれは、自艦が捉えた目標を、目標に近い僚艦の武器システムを利用して目標を攻撃し、その発射さ
れたミサイルは敵に妨害されない他艦が終末誘導を行なうというシステムである。CECは、個艦の戦闘力を多くの
外部センサーを共有する事で飛躍的に戦闘力を向上させるとともに、高額なハードウェアの開発を行なう事無く見か
け上(500kmの索敵距離を持つイージス艦が500kmごとに配置されれば個艦レベルでも最大2500km遠方の
目標を探知・攻撃出来る)の性能を向上させる事が可能となる最大のメリットがある。将来的にCECは、陸軍及び
空軍と統合されたデーターリンク・システムの導入を目指しておりJTIDS(Joint Tactical Information and Dist
ribution System)が計画されている。





■タイコンデロガ級兵装システム

(54口径127mm単装艦載砲 Mk45/62口径127mm単装艦載砲 Mk45 Mod4)
現在タイコンデロガ級に搭載されている艦載砲は、54口径127mm単装艦載砲でアップグレードされる長砲身62
口径Mk45 Mod4は、射程を延伸する射程延伸誘導弾(ERGM)を開発中で、ERGM弾は砲弾を発射後ロケット
推進に切り替わりGPSとINS航法慣性装置で63浬(130km)まで着弾を誘導出来る。 この新型の艦載砲は毎
分40発発射可能で命中精度は5m以内を誇る。 尚Mk45 Mod4は、CG−47〜51のベースライン1とCG65〜
73のベースライン4の艦に搭載される事が決定している。
Mk45 Mk45 Mod4 アーレイ・バーク級搭載Mk45 Mk45 Mod4


(Mk15 20mmCIWS ファランクス)
すでに旧式化となりつつある近接防空兵器。 射程は1500mと短く、近年の大型化し高速化した対艦ミサイルを2
0mm砲で完全に破壊する事は威力不足となっている。 現在米海軍は近接個艦対空ミサイルRAMを装備検討中
である。
Mk15 Phalanx Close-In Weapons System(CIWS) RIM-116 RAM(Rolling Airframe Missile)


(スタンダードSM−2MR/SM−2ER/SM−2ER BlockIV)
イージス艦の主力兵器で艦隊に接近する敵ミサイル及び航空機に対する対抗兵器。 当初はスタンダードSM−1だ
ったが、現在はSM−2MR(射程65Km)とSM−2ER BlockIV(射程130km前後)を装備されている。
SM−2ER BlockIVはVLS(垂直発射システム)から発射可能でイージス・SPY−1で管制されSPG−62より管
制・指令誘導され終末段階ではセミ・アクティブ誘導される。
Mk41 Vertical Launching System(VLS) SM-2 BlockIV


(スタンダードSM−2ブロック WA/スタンダードSM−3)
TMD戦域ミサイル防衛構想で敵弾道ミサイル撃墜を目的としたスタンダードミサイルSM−2ブロック WA 弾道ミ
サイル撃墜に必要な小型レーダー・赤外線画像シーカー・強化ブースター等を装備しマッハ6、射程150kmを誇る
現在は開発実験中だが実験結果は良好で、今後ベースライン4に搭載配備される。スタンダードSM−3は大気圏
外での弾道ミサイル迎撃を目指した物で、現在開発・実験中だがテスト結果に目途が立ち配備される予定である。
日本は、SM−3 BlockIIの開発製造を共同で行い、海上自衛隊のイージス艦「改こんごう」級にも搭載される。


(スタンダードSM−4)
信頼性と高いコストパフォーマンスで定評のあるスタンダードミサイルの陸上攻撃型で、冷戦後地域紛争が多発し
その対処が迫られると、海軍では新型巡航ミサイルが開発されるまでの繋ぎとして急遽開発が進められた。
巡航ミサイルより高速で陸上ターゲットを攻撃可能だが射程が短く、またペイロードが少ない為その用途には苦慮
している模様。導入されるかは現在検討中である。


(SPG−62射撃指揮アンテナ:127mm砲&スタンダード管制用)
スタンダード対空ミサイルの管制・指令誘導を司る戦闘指揮決定システムCDS(Command and DecisionSystem)
の端末機器。


(VLアスロック)
対潜ロケット・アスロックをVLSで発射する慣性誘導アスロック。 従来のアスロックの様にロケットで打ち出されるの
では無く目標海面上空までロケットモーターで誘導され、その後Mk46短魚雷をパラシュートにて切り離される。 
最大射程距離は旧式の2倍に相当する18kmに達する。


(トマホーク巡航ミサイル)
陸上攻撃が可能なトマホーク巡航ミサイル TLAM(Tomahawk Land Attack Missile)が搭載され、それらを発
射制御・管制誘導するTWCS発射管制装置(Tomahawk Weapon Control System)と併用して運用される。
開発中で実戦配備間際の最新型タクティカル・トマホーク(TACTOM)用に最新型ATWCS(Advanced Tomah
awk Weapon Control System)に換装される。
BGM-109 Tomahawk BlockIII


(AH−1 W/Z スーパー・コブラ)
巡洋艦改造プロジェクトCCPでアップグレードされるタイコンデロガ級は、CEC(共同交戦能力)の導入によって個
艦の能力だけに依存する事無く僚艦や航空機・軍事衛星等の外部センサーを共有・統合する事によって飛躍的に
その交戦能力を高めた。また、冷戦終結後米海軍を脅かしてきたロシア(旧ソ連)SSN(攻撃原潜)の稼働率が低
下し、その脅威が薄らいだ事によって哨戒(対潜)能力は最優先項目では無くなったが、むしろ以前よりCECによっ
て哨戒能力は向上している。また、近年多発する地域紛争やテロ戦争に対処すべく、米海軍は「海上からの力の
投射」という明確なビジョンを実現すべく哨戒(対潜)ヘリSH−60に代わって搭載するのがAH−1 W/Z攻撃ヘリ
である。Z型は、スーパー・コブラシリーズの最終進化形態で、AH−64Dロングボウ・アパッチに迫る性能を発揮す
る。全てのタイコンデロガ級に配備される訳ではないが、1隻には2機のスーパー・コブラが搭載される予定である。
AH-1Z AH-1Z初飛行





2001/08/21 アップロード 2004/01/18 新規更新 



presented by US.Navy  TICONDEROGA CLASS PhotoGallery

CG−68 Anzio
後続の艦はミサイル追跡艦?

127mm砲発射シーン
艦橋マストに赤い旗が...実弾

CG−70 Lake Erie

CG−64 Gettysburg
吃水線が見えます

CG−63 Cowpens

CG−63 Cowpens

CG−58 Philippine Sea
洋上補給中で補給艦は高速戦闘支援艦の
「サプライ級」

後方に見えるのは同じくイージスシステム
塔載の「アーレイ・バーク級」
タイコンデロガ級よりもステルス性を考慮
している為全高が低い事に注目

VLS垂直発射システムから発射された
瞬間のスタンダード対空ミサイル
前部VLS及び後部VLSの同時発射の
瞬間 ちなみにこの画像はイージス駆逐艦
「アーレイ・バーグ級」よりの発射シーン

CG−71 Cape St.George







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