■U.S.Air Force Lockheed Martin/Boeing F-22A Raptor
米空軍 ロッキード・マーティン/ボーイング F-22A ラプター 航空支配戦闘機


F-22A Raptor



■[米空軍 ステルス戦闘機 F-22A ラプター]
F-22Aラプター(Raptor)は、米空軍現有の主力戦闘機F-15C型イーグルの後継機で、ステルス性能、
大推力エンジンの搭載による高機動性とアフターバーナーを使用しないスーパークルーズ(超音速巡航)
能力を獲得し、諸外国在来の戦闘機を圧倒的に凌駕する性能を有する。計画当初から、ステルス性能に
優れた無尾翼機の発展型として設計され、戦術運用コンセプト「First look/First shot/First kill」最初に
探知、最初に攻撃、最初に撃墜させる事を達成させている。また卓越した空中機動力と敵防空網を突破
するスーパークルーズ性能は、制空戦闘機としての任務に加えて対地攻撃能力も付与され、単なる
制空戦闘機(Air Superiority Fighter)としてだけでは無く、彼我の空間全体の絶対的支配を目論んだ
航空支配戦闘機(Air Dominance Fighter)と呼称されている。米空軍は、最初のF-22(F/A-22)ロール
アウト時に、その期待と自負を込めて空の支配者たる鷲(ワシ)・鷹(タカ)、古来より知の象徴とされた梟
(フクロウ)の総称として用いられる猛禽類(Raptor/ラプター)の称号を冠した。
そして2002年9月17日には、攻撃機を意味するA(アタック)を付与し制式型式名をF-22Aラプターから
F/A-22ラプターとする事を発表している。

(*0)2005年12月13日に米空軍は、「F/A-22ラプター」を「F-22Aラプター」とする事を発表している。
2005年12月15日に、米空軍は、ヴァージニア州ラングレー(Langley)空軍基地の第1戦闘航空団
(1st Fighter Wing)、第27戦闘飛行隊(27th Fighter Squadron)の計12機が、IOC(Initial Operation
Capability)初期作戦能力を獲得し、F-22Aの実戦配備を完了した。今後同飛行隊には合計で26機
のラプターが配備される予定で、その他にフロリダ州エグリン(Eglin)空軍基地、
アイダホ州マウンテン・ホーム(Mountain Home)空軍基地、アラスカ州エルメンドルフ(Elmendorf)
空軍基地が部隊配備候補に挙がっており、グアムのアンダーセン(Andersen)空軍基地に遠征派遣
又は前方展開される予定が組まれている。

(*0)2006年2月21日追記 制式名称の変更にともない当ページに掲載されている「F/A-22ラプター」も
一部を除き「F-22Aラプター」に変更しました。

設計・開発の初期段階でMultirole Fighter(多用
途戦闘機)として開発される方針が立てられた。
冷戦終結後F-22Aラプターの存在意義その物
が問われたが、結果的には現在の世界の趨勢は
限られた航空兵力の中で多目的に運用可能な
航空機であって、まさに米空軍の求める多目的
任務を遂行可能な戦闘機が戦力化する。
相次ぐ国防費の削減、それに伴い調達機の削減
、機数が減る事により調達費高騰の悪循環、一時
は開発の中止も取り沙汰されたが、これまで開発
が進められた最大の要因には、柔軟な戦術運用
が可能な多目的作戦遂行能力を持ち合わせて
いる事が挙げられる。

冷戦終結後は、諸外国の軍事費が削減され保有
する航空兵力も減少傾向にある。これまでの様に
主任務に特化した軍用機の開発では、量的な
調達機数が見込めない為相対的な戦力の低下を
招く。ラプターの多目的作戦遂行能力はそれらを
補うものである。
ラプターは、SAR(合成開口レーダー)を搭載する
事により、これまでの様に予め指定された地上
目標を攻撃するのではなく、自らが目標を探索し
攻撃可能となった。これは、地上目標監視機や
攻撃機の任務をある意味(数量的に)補完している。






■[Next-generation fighter development project proposal(次世代戦闘機開発計画案)]
1974年11月より本格的な部隊配備が始まった新鋭制空戦闘機F-15A/Bの優位性が、当時の旧ソ連の
戦闘機に対して一時的な事を示す空軍情報部のレポートで明らかになると、詳細な情報分析の
プロジェクトを発足するに至る。このプロジェクトチームは、米宇宙軍内に設置され、偵察衛星等からの
詳細な分析を行った結果、ソ連が開発中で後のミグ29ファルクラム及びスホーイ27フランカーと判明し
ている。国防省は、F-15A/Bに匹敵又は同等の性能を持つソ連の新型戦闘機がハイペースで量産され
るのは、F-15の持つ戦術的な優位性が数で圧倒され、戦略的劣勢に立たされる事に脅威を感じ始めて
いた。また、1973年の第四次中東戦争では、ソ連製のSAMサイト(地対空ミサイル)が航空機に対して
絶大な戦果を挙げ脅威になる事を見せ付けられ、これらの対策も急務となっていた。
米空軍では、1970年代後半より次世代の航空機に求められる要求基準案の作成に取り掛かり、ソ連の
新型機に性能面で凌駕する事、第四次中東戦争の戦訓を取り入れる事、ワルシャワ条約機構軍が東欧
に急速に配備を進めているSAMサイト防空陣地を突破する航続性と速度を兼ね備える事等のレポートを
国防省に提出している。これを受け、国防省は非公式にマクドネル・ダグラス社
(*1)、ボーイング社、
ロッキード社
(*2)、ノースロップ社(*3)、グラマン社(*4)等に開発計画の骨子を提示出来るか打診している。
各航空機製造メーカーから出されたレポートは、Next-generation fighter development project proposal
(次世代戦闘機開発計画案)と呼称され、これを基に正式に空軍内に開発プロジェクトチームが設置され
た。 オハイオ州ライト・パターソン空軍基地にある米空軍研究所(US.Air Force Research Laboratory)
の航空学システム部門((Aeronautical Systems Division))が開発を担当する事になる。
これは、F-22Aラプターの開発プロセスの準備段階で、正式な開発計画は、これ以後のATF開発計画で
進められる事となる。

(*1)1997年にボーイングと合併・吸収
(*2)1995年にマーティン・マリエッタと合併してロッキード・マーティンに。
(*3)(*4)1994年にノースロップ社がグラマン社を買収・合併



■[Advanced Tactical Fighter(次期戦術戦闘機)]
1981年に航空学システム部門では、本格的な次期主力戦闘機開発の準備作業に取り掛かり、1981年11
月に米空軍は、正式にAdvanced Tactical Fighter(次期戦術戦闘機)開発計画を始動させ、RFP
(Request for Proposal)要求依頼書を発行している。米空軍では、次期主力戦闘機となるATF開発計画
で機動性、ステルス性、スーパークルーズ(超音速巡航)、Affordability(調達性)が重視され開発研究
が進められる事となる。 機動性は、文字通り制空戦闘機として空中格闘戦能力を重視したもので、現有
のF-15A/Bを能力向上させたF-15C(1978年配備)を上回り、ソ連の新鋭戦闘機を凌駕する事である。
ステルス性は、第四次中東戦争(1973年)の教訓、ワルシャワ条約機構軍のSAMサイト(地対空ミサイル)
の脅威、制空戦闘機として敵防空圏内での戦闘とその為の侵攻能力を得る為、最も重要視されている。
1974年5月よりDARPA(米国国防省防衛高等研究計画局)で研究が進められており、ロッキード社と
ノースロップ社が航空機のステルス性に関しての研究に参加していた為、他のメーカーに比べてアドバン
テージがあると見られていた。スーパークルーズ(超音速巡航)は、膨大な燃料を消費し短時間の使用に
しか耐えられないアフターバーナーの使用をせずに超音速を越える能力をATF開発機に持たせる事を
目的としていた。 その為エンジンの開発は先行して行われ、JAFE(Joint Advanced Fighter Engine)
共通先進型戦闘機エンジンとして1983年5月には要求仕様が定められ、同年9月には、ジェネラル・
エレクトリック社(General Electric Company)とプラット&ホイットニー社(Pratt&Whitney)の2社が選定
されている。調達性は、Design to Cost(コスト対応設計)の大量生産で大規模にATF機を調達し、結果
コストを下げようとする試みで、当時のF-15C型機が約4000万ドルしていたのに対し、初期の計画では
約3500万ドル付近で調達する計画で、初めて前世代の主力戦闘機より安価な戦闘機となるはずで
あった。この調達性が崩壊した一因には、当時水面下で計画されていた海軍のF-14トムキャットの
後継機を相乗りさせようとしたATA(Advanced Tactical Aircraft)計画が中止となった事と、ソ連の崩壊
により冷戦が終結し調達機数が減らされコストが高騰した事が挙げられる。



■[ATF F-22(F/A-22)開発計画概要]
1981年に開発がスタートした後のF-22Aラプターは、米空軍及び米空軍研究所、開発研究を担当する
航空学システムセンター(ライト・パターソン空軍基地)、電子システム・センター(ハンスコム空軍基地)で
技術的要求基準案が作成され、「20世紀最後の有人戦闘機開発計画」と謡われた為、全米の各メーカー
がこぞって参加を表明している。参加した航空機製造メーカーは、マクドネル・ダグラス社、ボーイング社、
ロッキード社、ノースロップ社、グラマン社、ジェネラル・ダイナミクス社
(*5)、ロックウェル社(*6)の7社に
のぼった。1983年オハイオ州ライト・パターソン空軍基地にある米空軍研究所(US.Air Force Research
Laboratory)と航空学システムセンターは、共同でATF開発計画局(SPO:System Program Office)を設置
しATF開発を主導していく事になる。SPOは、同年に制空戦闘機としての開発に加えて、PGM(Precision
Guided Munition)精密誘導兵器の運用も視野に入れたMultirole Fighter(多用途戦闘機)として開発する
方針に変更している。
ATFの要求仕様は、1985年9月までに完成し、各メーカーに要求仕様であるRFP(Request for Proposal)
を提示している。1985年11月には、ステルス性能に関する要求仕様が改訂され、1986年3月には海軍の
F-14トムキャットの後継機開発計画ATA(Advanced Tactical Aircraft)をATF内で開発する事が決定され
てNATF(Naval Advanced Tactical Fighter)海軍向けATFとしている。RFPの要求仕様に沿って各メーカ
ーでは開発プランが検討され、1986年7月にメーカーのコンセプト案が締め切られた。 1986年8月には、
ロッキード、ボーイング、ジェネラル・ダイナミクスの3社は、いすれかの案が採用されても共同で開発を行
う覚書に署名している。ノースロップとマクドネル・ダグラスも同様に協約を結んでいる。
SPOは、1986年10月ロッキード社とノースロップ社の2社をATF開発計画の競合企業に正式に選定した。

米空軍ATFの開発計画担当SPOは、先行して開発されているJAFE(Joint Advanced Fighter Engine)
共通先進型戦闘機エンジンの開発メーカー、ジェネラル・エレクトリック社とプラット&ホイットニー社の
新規開発ジェットエンジンを搭載してテストが行える様に、飛行概念実証機(Demonstration/Validation)
をロッキード社とノースロップ社にそれぞれ2機製作する様に打診している。デモンストレーター(実証機)
はロッキード社がYF-22、ノースロップ社がYF-23として開発される事となる。
ロッキード社のYF-22は、ボーイング社及びジェネラル・ダイナミクス社との覚書通り共同で開発を分担し
機体開発は三分の一ずつ行う事となった。しかし、1993年にロッキード社は、ジェネラル・ダイナミクス社
の航空機部門を買収した為、YF-22の開発はロッキード社が三分の二、ボーイング社が三分の一を分担
して行う事の体制に変更されている。

(*5)1993年に航空機製造部門をロッキード社に売却。
(*6)1996年に軍事産業部門をボーイング社に売却。
ATFプログラムには、ロッキード社とノースロップ社
が選定され、激烈な開発競争が繰り広げられた。
上がノースロップ社YF-23(PAV-2)2号機で下が
ロッキード社YF-22(PAV-1)初号機。


米海軍のF-14トムキャットの後継機開発計画は、
のちにATFプログラムと相乗りしNATFとして開発
される予定だったが中止となってしまった。
上は、NATFで開発される予定だったF-22可変翼
タイプ。




■[ロッキード YF-22とノースロップYF-23 概要]
ロッキード社YF-22とノースロップ社YF-23は、1986年10月31日には本格的な設計プログラムを開始し、
4年の歳月をかけて製作が行われた。 設計と開発(各種テスト)及び製造は、空軍及び主契約企業内
でも極秘に進められ、情報の流出は厳重に管理されていた為1990年になりようやく機体デザインが公表
されている。プロトタイプ(試作機)の初号機の初飛行は、ノースロップ社YF-23が1990年8月27日に成功
し、ロッキード社のYF-22は遅れて9月30日に試験飛行パイロットDave Ferguson(デイヴ・ファーガソン)
によって成功している。YF-22の初号機(YF-22 PAV-1)は、JAFE(共通先進型戦闘機エンジン)で先行
して開発が進められたジェネラル・エレクトリック社製YF120(GE37)が搭載され、2号機(YF-22 PAV-2)
は、プラット&ホイットニー社製YF119(PW5000)を搭載して1990年10月30日にTom Morgenfeld
(トム・モルゲンフェルド)によって初飛行に成功している。プロトタイプYF-22の初号機(PAV-1)は、
カリフォルニア州ロサンゼルス郊外のロッキード社バーバンク(Burbank)工場で設計とプログラム統括が
実行され、テキサス州のジェネラル・ダイナミクス社フォート・ワース(Fort Worth)工場とワシントン州
ボーイング社シアトル(Seattle)工場で担当部位の製作が行われ、カリフォルニア州のロッキード社
パームデール(Palmdale)工場で機体組み立て作業が行われた。
米空軍は、1990年10月よりカリフォルニア州エドワーズ空軍基地内のAFFTC(Air Force Flight Test
Center)空軍飛行試験場で飛行概念実証(dem/val)フェーズを開始し、12月に終了するまで合計74回
92時間の試験飛行を行い、約750項目にも及ぶ評価テストがYF-22初号機(PAV-1)、2号機(PAV-2)を
使用して行われている。試験飛行は、10月25日にAFFTC(空軍飛行試験場)パイロットMark
Shackelford(マーク・シャッケルフォード)少佐によって初めて超音速飛行を行い、翌日にはKC-135より
空中給油のテストを行っている。11月3日には、初号機(PAV-1)でアフターバーナー無しでマッハ1.58を
記録、11月15日には、初号機(PAV-1)でジェネラル・エレクトリック社製YF120エンジンの
Thrust Vectoring(ベクタード・スラスト)可変推力偏向方式の飛行操縦テストが行われた。
11月23日には、2号機(PAV-2)に搭載されているプラット&ホイットニー社製YF119エンジンがアフター
バーナーを使用せずにスーパークルーズ(超音速巡航)飛行を成功させ、11月28日には、海軍兵器
試験場(カリフォルニア州モハーベ砂漠チャイナ・レイク)でジェネラル・ダイナミクス社(*5)のテスト
パイロットJon Beesley(ジョン・ビーズリー)がエアーインテーク側面の兵器倉(ウェポンベイ)から
AIM-9サイドワインダ−試射テストを行っている。12月1日に、2号機(PAV-2)に搭載されているプラット
&ホイットニー社製YF119エンジンのThrust Vectoring(ベクタード・スラスト)可変推力偏向方式の
テストが行われた。12月10日からは、初号機(PAV-1)でハイ・アルファ試験(高迎え角)(*7)が行われ
ており、12月17日には、最大で60度迎え角での操縦安定性を成功させている。
12月20日には、ロッキード社のテストパイロットTom Morgenfeld (トム・モルゲンフェルド)が、2号機
(PAV-2)を使用して海軍兵器試験場(カリフォルニア州 ポイント・マグー航空基地:Point Mugu)の
太平洋上で胴体内兵器倉に搭載されているAIM-120C AMRAAMの試射に成功している。
12月28日には、初号機(PAV-1)を使用して最高飛翔速度操縦性テストが行われ、最大飛翔速度
マッハ2.0を記録し、このフライトをもって全ての飛行概念実証(dem/val)フェーズを終了し、初号機
(PAV-1)は合計43回のフライトで52.8時間のテストを行い、、2号機(PAV-2)は合計31回のフライトで
38.8時間のテストを行った。12月31日にロッキード、ボーイング、ジェネラル・ダイナミクスの3社と
ノースロップ、マクドネル・ダグラスの2社は、米空軍に飛行概念実証(dem/val)フェーズのレポートと
EMD(Engineering Manufacturing and Development/開発生産・技術)フェーズの企画書を提出している。
1991年4月23日に米空軍のSPO(ATF開発計画局)は、EMDフェーズで開発される先行量産型F-22の
主契約社選定作業に取り掛かり、1991年4月23日にAir Force Program Executive Office(空軍省計画
実施局)は正式にATF(次期戦術戦闘機)をロッキード社YF-22に決定した。尚JAFE(共通先進型戦闘機
エンジン)は、プラット&ホイットニー社製YF119エンジンが採用される事になった。

1991年8月2日に米空軍は、ロッキード、ボーイング、ジェネラル・ダイナミクスの3社と総額95億5千万ドル
にものぼるEMDフェーズ(先行量産型)の契約を結び、9機の単座型と2機の複座型が生産される事が
決定した。EMDフェーズ(先行量産型)で製造される単座型の機体は、制式型式をF-22A型、複座型を
F-22B型としている。

(*5)1993年に航空機製造部門をロッキード社に売却した為、後にロッキード社テストパイロット
(*7)迎え角(Angle of Attack)主翼の前縁と後縁を結ぶ線上の空気が流れる相対角度。AOA(迎え角)
が増すにつれ揚力は増大し、ある限度を過ぎると逆に揚力が無くなり失速の状態に陥る。
ATFに選定された試験飛行中のロッキード社YF-22
(PAV-2)2号機。
エンジンはP&W社製YF119エンジンを搭載。


試験飛行中のノースロップ社ATF向けデモンスト
レーターYF-23(PAV-2)2号機。エンジンはP&W
社製YF119エンジンを搭載。





■[ロッキード F-22A/B EMDフェーズ概要]
1991年1月飛行概念実証(dem/val)フェーズを終了したロッキード社は、EMD(開発生産・技術)フェーズ
の契約を取得する為の準備と先行量産型開発設計の準備作業を行う為、ATFプログラムの本拠地を
ジョージア州アトランタのマリエッタ(Marietta)工場に移転している。 4月に、ATF(次期戦術戦闘機)
の契約を勝ち取ると、本格的なF-22の開発設計プログラムが開始され、8月にEMDフェーズ(先行量産
型)の契約が交わされると、F-22A型(単座)とF-22B型(複座)の設計作業が開始される。
プロトタイプ初号機(PAV-1)は6月23日に空軍のC-5ギャラクシー戦略輸送機でマリエッタ工場に運び
込みモックアップ(技術立証模型機)
(*8)としている。 プロトタイプ2号機(YF-22 PAV-2)は、10月30日
からエドワーズ空軍基地のAFFTC(空軍飛行試験場)で、EMDフェーズでのフライトテスト・プログラムが
開始されている。1992年の4月7日までに40時間を越え、4月11日に合計32回目のフライトが行われた。
担当した試験パイロットは、AFFTCのJay Jabour(ジェイ・ジャブール)中尉が行っている。
4月25日には、エドワーズ空軍基地で低速・低空進入テストを行っている際に異常振動が発生し失速、
上空40ft(12.2m)の高さから墜落し、滑走路を8000ft(2438m)滑って機体の一部が炎上し損傷させた
事故が発生している。機体は、左側の主翼及び水平尾翼、垂直尾翼を損傷させたが折れたり脱落する
事は無くパイロットも無事だった。結果的に、この事故はYF-22の機体強度が頑丈である事を証明する
事になった。2号機(YF-22 PAV-2)は、flyable(フライアブル/飛行可能)な状態に修理するには費用が
掛かり過ぎると判断され、ニューヨーク州のグリフィス(Griffiss)空軍基地のローマ航空開発センター
(Rome Air Development Center)で各種電子装備の評価試験に使用された。

ロッキード社は、6月4日にF-22A型(単座)とF-22B型(複座)のDesign Review Update(DRU/設計
調査最新版)を完成させた。F-22A型の機体デザイン設計は、プロトタイプ(試作機)2号機(YF-22
PAV-2)から比べると部分的に大幅な設計変更が加えられている。主な変更点は、機首部レドーム
のデザインがパイロットの視界確保と搭載されるアクティブ・フェイズド・アレイ・レーダーの関係から
変更されている。また、同じ理由からコックピットの配置が前方に移されている。 これにより機体の
胴体長が短くなった。エアーインテーク(空気取り入れ口)もパイロットの側方視界とステルス性及び
空力特性を確保する為、デザインが変更されている。
胴体上面のエアーブレーキは廃止され、代わりに主翼後縁の補助翼と垂直尾翼の方向舵の非対称
操作でスピード・ブレーキを行う方式に変更している。主翼は、大幅に設計デザインが変更され、主翼
面積は同じで翼幅が僅かに伸びている。 主翼面は、台形からテーパー比0.169のダイヤモンド形で
前縁後退角はプロトタイプ(試作機)の48度から42度に変更され、後縁前進角17度に変更、さらに主翼
端部は、各種電子アンテナ類を内蔵する為に前進角42度にカットされている。
垂直尾翼は、ステルス性と機動性の兼ね合いから高さが低くなり翼面積も8.3m2に抑えられた。 逆に
水平尾翼は、翼面積が5.3m2と大きくなり、デザインも後縁の張り出し部が大幅に変更されている。その
他には、主脚ギアが軽量化され前方引き込み方式から側方引き込み方式に変更され、空中給油口は、
ロッキードF-117Aの物を流用していたが新規に設計されている。 エンジンもベクタード・スラスト・シス
テムの操縦応答性を向上させる為に排気ノズルの上下のパドルを小型軽量化している。

米国議会は、ソ連の崩壊による冷戦終結後、湾岸戦争(1991年)にみられる地域紛争多発に対処する
為米軍の改編と国防予算の削減を決定し、1993年1月にはその影響でF-22のEMDフェーズ(先行量産
型)のプログラムが大幅な変更を余儀なくされる。
EMDフェーズで製造されるF-22B型(複座)2機の予算はカットされ、F-22A型(単座)9機のみとなった。
さらに量産プログラムの変更は深刻で、総調達機数が750機から648機に減じられ、プログラム・マネー
ジメントも2年遅れる事となる。この決定は、米国の航空機産業に大きな影響をもたらし、再編と淘汰が
行われ、3月1日にはロッキード社は、ATF(次期戦術戦闘機)のパートナー、ジェネラル・ダイナミクス社
の航空機部門テキサス州フォート・ワース(Fort Worth)工場を買収した。
これによりATFのEMDフェーズでジェネラル・ダイナミクス社が担当している胴体部の製造は、ロッキード
社が担当する事になり、F-22A型(単座)の製造分担は、ロッキード社が35%から67.5%に引き上がり
ボーイング社と共に製造を行う事となった。

1993年4月30日にロッキード社は、PDR(Preliminary Design Review/航空機予備設計審査)をクリアし
本格的なF-22A型(単座)最終生産課程である、EMDフェーズII(先行量産型)が開始された。
12月8日には、ロッキード社のジョージア州アトランタのマリエッタ(Marietta)工場で先行量産型初号機
(F-22A4001)の製作が開始された。
国防省は、1994年2月10日に相次ぐ国防予算の縮小化の為ATFプログラムで開発されたF-22の量産型
の総調達機数を648機から422機に大幅に減じる事を発表している。
3月4日には、F-22A型の実物大モックアップで行っている初期テストでステルス性に関する問題点が明ら
かになり、空軍とF-22製造メーカーは対策チームを結成し、この問題の解決を図っている。 対策チーム
は、機体の鋸状ドアパネルやドレンホールがRCS(Radar Cross Section/レーダー反射断面積)を大きくし
ている事が判明し、これらの部位にはRAM(Radar Absordnt Material/電波吸収剤)を使用し鋸状の歯の
デザインを減らし、ドレンホールを集約してRCSを小さくする事に成功している。
米空軍SPO(ATF開発計画局)は、CDR(Critical Design Review/最終設計審査)を行い1995年2月24日
にEMDフェーズII(先行量産型)で製作されるF-22A4001(評価初号機)の製造組み立て課程にGOサイン
を出した。

(*8)1997年7月、オハイオ州ライト・パターソン空軍基地にある空軍博物館に展示される。



■[米空軍/ロッキード・マーティン/ボーイング F-22A(F/A-22) ラプター]
正式にCDR(最終設計審査)をクリアしたロッキード社は、1995年の3月15日航空宇宙電子分野の大手
マーティン・マリエッタ社と合弁し、ロッキード・マーティン社としている。 ロッキード・マーティン社は、
ジョージア州アトランタのマリエッタ(Marietta)工場で設計製作マネージメントと機首部、胴体部、電子
アビオニクス・システムが製作され、テキサス州フォート・ワース(Fort Worth)工場のLMTAS(Lockheed
Martin Tactical Aircraft Systems)社で胴体中央部が製作される。
ボーイング社は、ワシントン州シアトル(Seattle)工場で主翼、胴体後部が製作される。1995年6月27日
にはフォート・ワース工場で製作を開始、10月4日にはシアトル工場、11月2日からマリエッタ工場で
それぞれ製作を開始している。1996年1月17日には、シアトル工場で主翼部の製作が開始され、5月6日
にプラット&ホイットニー社はF-22A4001(評価初号機)用のF119エンジンの最終製作に取り掛かる。
8月29日にLMTAS社で製作されていた胴体中央部が完成し、トラックでマリエッタ工場に輸送されている。
9月24日には、テネシー州アーノルド(Arnold)空軍基地内のAEDC(Arnold Engineering Development
center/アーノルド工学開発センター)で2基のF119-PW-100エンジンの地上燃焼テストが行われた。
ウェスティングハウス・エレクトリック(Westinghouse Electric)
(*9)社製AN/APG-77 アクティブ・フェイズド
・アレイ・レーダーの機上テストと搭載作業を開始。10月16日には、シアトル工場で胴体後部が完成し
C-5ギャラクシー大型輸送機でマリエッタ工場に運ばれて、10月27日までに胴体中央部及び後部の組み
立て作業を終えている。
11月9日に、ボーイング社製主翼はマリエッタ工場に運び込まれ組み立て作業を開始。12月までに電装
系の作業のテストが行われ、1997年1月からは、F119-PW-100エンジンのチェックが入念に行われた。
1月21日には、左垂直尾翼(Vertical Stabilator)が組みつけられ、右側は2月6日に行われている。
2月17日、プラット&ホイットニー社F119-PW-100エンジンは、AEDC(アーノルド工学開発センター)で
行われていたCDR(最終設計審査)の耐久試験を全てクリアしている。
3月6日に、F-22A4001(評価初号機)の機体組み立て作業が完了し、米空軍SPO(ATF開発計画局)の
完成検査を受ける為の最終作業が進められる。3月31日、SPOは、プラット&ホイットニー社F119-PW-
100エンジンの制式型式名を決定。
4月9日、マリエッタ工場でF-22A4001(評価初号機)がロールアウト。 完成式典が行われ、米空軍は、
F-22A Raptor(ラプター)の制式名を与えた。 その後、SPOによる完成検査と各種操縦系統及び電子
装備系と燃料系のテストが並行して行われている。8月7日より初飛行に向けての各種テストが行われ、
8月16日には低速で誘導路を自走するタキシング(Taxiing)テストを実施、8月25日には108km/hで
滑走路を走行し、9月5日に高速でのタキシングテストを実施した。
9月7日に、チーフ・テスト・パイロットPaul Metz(ポール・メッツ)によって、F-22A4001(評価初号機)の
初飛行に成功している。その後、各種飛行テストが繰り返された後、1998年の2月にマリエッタ工場から
C-5ギャラクシー大型輸送機でエドワーズ空軍基地に輸送され正式に空軍に引き渡された。
エドワーズ空軍基地では、4月22日から本格的なF-22A型ラプターの飛行プログラムが開始されている。
EMDフェーズII(先行量産型)で試作された評価機は合計11機で、うち2機の3999号機と4000号機は地上
試験専用で静強度試験、疲労負荷試験に使用される。F-22A4001(評価初号機)は、各種飛行テスト用で
アビオニクスはレーダー及びEW(Electronic Warfare)電子戦機器が搭載されたBlock I configuration
(ブロック1 コンフィギュレーション)を装備している。F-22A4002(2号機)は、長距離・長時間飛行テスト用
及び各種兵装運用試験用で、アビオニクスは初号機と同じBlock Iが搭載されている。
F-22A4003(3号機)は、極限飛行テスト用であらゆる環境下での飛行テストを行っている。 またJDAM
(Joint Direct Attack Munition)の運用投下試験が行えるように、アビオニクスを換装してBlock II
configuration(ブロック2 コンフィギュレーション)を搭載している。F-22A4004(4号機)は、アビオニクス
の運用評価試験に専用に使用されており、最初からBlock II configurationを搭載している。
F-22A4005(5号機)は、兵装系アビオニクスの評価試験に使用されBlock II configurationを搭載している。
F-22A4006(6号機)は、Block II configurationを改良し、量産機に搭載されるフル装備のアビオニクス
(ブロック3 コンフィギュレーション)が搭載され、飛行制御プログラムの熟成を行う。
F-22A4007(7号機)は、Block III configurationのアビオニクスを搭載し各種飛行・兵装試験を行う。
F-22A4008(8号機)とF-22A4009(9号機)は、エドワーズ空軍基地第412試験航空団(412th Test Wing)
に引き渡され評価試験を行う為、アビオニクスを改良型Block III configurationが搭載され、機体とステルス
特性がフル装備となっている。

尚1997年に国防省は、米国議会の要求に従いATFプログラムで開発されるF-22の量産型の総調達機数
を422機から339機に減じる事を決定している。

(*9)ウェスティングハウス・エレクトリック社は1996年に航空電子部門をノースロップ・グラマン社に売却。

ATF EMDフェーズF-22初号機。米空軍機体番号
001号機、機体製造番号4001号機。1997年初飛行
後各種フライトテスト時の初号機。 垂直尾翼の
「Raptor01」のマーキングは、001号機だけの特徴
である。



ATF EMDフェーズF-22 2号機。垂直尾翼には機体
番号では無く機体製造番号4002号機が書かれてい
る。2003年エドワーズ空軍基地で行われたエアー
ショーでの4002号機現況。 垂直尾翼には、ラプター
のシンボルマークとF-22Aのマーキングが施して
ある。


ATF EMDフェーズF-22 8号機。米空軍機体番号
008号機、機体製造番号4008号機。
8号機は、各種アビオニクスが実戦仕様のBlock III
が搭載され、試験飛行用の各種アンテナ類(機首
ピトー管)も取り外されたクリーン状態となっている。
エドワーズ空軍基地第412試験航空団で飛行運用
テストを行った。



■[米空軍 F-22A ラプター 航空支配戦闘機]
米空軍は、1997年12月19日にロッキード社とボーイング社に対してLRIP(Low Rate Initial Production/
低率初期量産)の調達費に付いて協議し、量産計画をロット1〜5までの量産計画を立案し、、ロット1
及び2の発注を1998年1月5日に行った。
しかし、米政府の反対にあって国防省は、LRIPのスケジュールを延期し、ロット1及び2の発注済み機数
分はキャンセルされPRTV(Production Readiness Test Vehicles/量産対応試験機)として1998年度は
2機のF-22A型を発注し、1999年度にPRTVの中でロット1を6機生産する事に変更になった。
1998年12月28日に米国政府は、このPRTV(量産対応試験機)の評価試験のクリアを条件にLRIP
(低率初期量産)を承認している。この2機のPRTV(量産対応試験機)でさらに量産体制に移行する為
の評価テストが繰り返された結果、DAB(Defense Acquisition Board )国防調達委員会は、LRIP
(低率初期量産)のロット2を承認。2001年8月15日に国防省は、2001年度に10機(ロット2)、2002年度
16機(ロット3)、2003年度24機(ロット4)、2004年度には、量産体制に移行し年間調達機数の36機
(ロット5)に到達し、ロット5以降からロット11までを定量量産で、ロット12の2010年度からを10機として、
最終量産ロットは2013年度までに終了する事を発表している。
本格的な量産仕様の機体はロット2から開始され、EMDフェーズII(先行量産型)で試作されたF-22A
4008(8号機)とF-22A4009(9号機)のアビオニクスを強化して試作されたPRTV(量産対応試験機)の
2機をベースとして、最新のアビオニクスBlock IV configuration(ブロック4コンフィギュレーション)を
搭載した仕様となっている。
2002年1月には、航空戦センター(Air Warfare Center/司令部ネバダ州ネリスAFB)指揮下フロリダ州
エグリン(Eglin)空軍基地第53試験評価群(53rd Test and Evaluation Group)でDEP(Development
Evaluation Program)開発評価プログラムが開始され、実機テストは第53試験評価群隷下ネバダ州
ネリス(Nellis)空軍基地第422試験飛行隊(422 Test and Evaluation SQ)で行われる。 搭載兵器の
各種運用評価試験は、フロリダ州ティンダル(Tyndall )空軍基地第53兵器評価群(53rd Weapons
Evaluation Group)で行われた。
2002年8月より、パイロットの訓練と機体の運用テスト及び部隊評価試験を行う為、フロリダ州ティンダル
(Tyndall )空軍基地のAETC(Air Education and Training Command)航空教育訓練軍団に新設された
2個訓練飛行中隊に量産初号機が配備される事が決定し、その為の準備作業が進められた。
ロット2で量産される1番機のF-22A4018号機
(*10)が量産初号機となり、2001年度に予算承認された
ロット2(合計10機)の1番機(量産初号機)は2001年3月より生産が開始され、約11ヶ月でロールアウト
している。
2002年8月よりティンダル(Tyndall )空軍基地第325戦闘航空団(325th Fighter Wing)とAETCは、共同
でIOP(Initial Operational Phase)初期運用フェーズを開始する為の準備作業を開始している。

2002年9月17日に米空軍は、圧倒的な空戦能力と卓越した対地攻撃能力を併せ持つF-22ラプターを
攻撃機を意味するA(アタック)を付与し制式型式名をF/A-22ラプターとする事を発表している。
(*A)2005年12月13日に米空軍は、「F/A-22ラプター」を「F-22Aラプター」とする事を発表している。

2002年より始められたIOP(初期運用フェーズ)は、2004年まで続けられ、2004年4月29日よりIOT&E
(Initial Operational Test and Evaluation)初期運用試験評価が行われ9月に終了している。米空軍は
IOT&E(初期運用試験評価)の結果を受け、全規模量産(High Rate Production)で年産最大36機の
F-22Aラプターを調達する事を決定している。 F-22Aラプターの実戦配備は、IOC(Initial operation
capability)初期作戦能力を獲得しているロット4からで2005年の12月を予定している。最初の部隊配備
は、ヴァージニア州ラングレー(Langley)空軍基地の第1戦闘航空団(1st Fighter Wing)とされている。
この決定は、2000年1月27日に米空軍が行い、非公式見解書(No Action Letter)では、この他に、
フロリダ州エグリン(Eglin)空軍基地、アイダホ州マウンテン・ホーム(Mountain Home)空軍基地、
アラスカ州エルメンドルフ(Elmendorf)空軍基地か、又は何れかに配備される事が検討されている。
ティンダル空軍基地には引き続き、パイロットの機種変換と養成の為にF-22Aが配備される。

[ F-22Aラプター 機体シリアル一覧 ]
(*B)

(*10)EMDフェーズII(先行量産型)では、3999〜4009号機で合計11機。PRTV(量産対応試験機)では、
4010〜4011号機で合計2機。PRTV(量産対応試験機)仕様でロット1では、4012〜4017号機で合計6
機。量産初号機は、4018号機からである。
(*A)2006年2月21日追記
(*B)2006年10月4日追記

米議会の国防費削減方針に対処する為に米空軍
が苦肉の策として進空させたPRTV(量産対応試験
機)米空軍機体番号010号機、機体製造番号4010
号機。実質的には量産初号機だが外面上試験機
としている。


ネリス空軍基地でOT&E(開発試験/評価)を行って
いるF-22A4013PRTV(米空軍機体番号013号機)と
随伴機F-16。




ティンダル空軍基地に配備された米空軍機体番号
018号機、機体製造番号4018号機。
予算上正式な量産初号機で2004年には評価試験を
終えてIOC(Initial Operation Capability)初期作戦
能力を獲得する見通し。


ティンダル空軍基地所属F-22A機体番号020号機
試験機とは違い各種アンテナ等の突起物は取り外
され、ステルス特性が最大に設定されている。




ティンダル空軍基地所属F-22A機体番号021号機。





2004年マリエッタ工場で空軍に引き渡された機体
製造番号4041号機。これより各種装備・塗装が施
される。 配備先は、垂直尾翼のマーキングから
ヴァージニア州ラングレー(Langley)空軍基地の
第1戦闘航空団(1st Fighter Wing)と推察できる。




■[F-22A ラプター 機体]

・機体構造

F-22Aラプターの機体設計は、機動性とステルス性、スーパークルーズ(超音速巡航)を両立する為に
バランスを重視した設計となっている。 しかし、その設計思想は妥協を許さないシビアな物で、一方を
重視するあまり一方が犠牲になる事にならない様に細心の注意を払って設計されている。 使用される
設計ツールは、IBM(米国)/Dassault Systemes(ダッソー・システムズ:仏)のCATIA(Computer Aided
Three-Dimensional Interactive Application)が使用され、三次元設計法で全ての機体部が設計されて
いる。また、COMOK(Computer Mockup Simulation)が導入され、設計者が視覚的に各部位の詳細な
設計が行え、コンピューター上でそれらのパーツの管理と組み立てを行える。
F-22Aラプターの機体構造材料は、軽量化と機体強度を両立する為に、複合材系が35%で金属系が
61%となっている。 内訳は、複合材系が熱硬化型CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)が24%、
炭素繊維とビスマレイミド樹脂の複合材が10%、耐熱性強化プラスチックが1%使用されている。
金属系は、チタン合金が40%、アルミ合金が16%、鉄鋼が5%使用されている。
機体製作は、レドーム、機首部、胴体前部をロッキード・マーティン社のジョージア州マリエッタ(Marietta)
で行い、テキサス州フォート・ワース(Fort Worth)工場のLMTAS(LockheedMartin Tactical Aircraft
Systems)社で胴体中央部が製作される。ボーイング社は、ワシントン州シアトル(Seattle)工場で主翼、
胴体後部の製作を行う。これらのパーツは、全てマリエッタ工場に運び込まれ組み立てられる事になる。

・機体胴体部
機首部及び胴体前部は、構造荷重及び熱負荷の影響が少なく、また軽量化と大量の電子装置を搭載
する為スペースのデザイン変更が容易な様にアルミ合金製で、補強材としてサイドビームには複合材
のCFRP(炭素繊維強化プラスチック)が使用されている。
胴体中央部は、F-22Aラプターの機体荷重が最も大きい箇所で、主翼前部と機体後部エンジン荷重を
受け持つ為、熱間鍛造・削り出しのチタン合金製となっている。胴体後部は、エンジンの重量、主翼後部
の負荷を支え、エンジンの放射熱及び排気ガスの高熱に耐える為、ボディフレームは総チタン合金製と
なっている。胴体後部だけでも約70%のチタン合金が使用されている。

・主翼部
F-22Aラプターの主翼部は、一次構造材部(主翼の主要強度を受け持つ部位)のスパー(Spar)は多桁
構造(Multispar Structure)で、主桁は前後合わせて6本あり中間桁はチタン合金製で、補強リブ(Rib)は
米国のCytec-Fiberite社が開発したビスマレイミド系超硬化樹脂5250-4RTMが使用され、二次構造材部
(主翼外板)には、単結晶構造の炭素繊維とビスマレイミド樹脂の複合材が使用されている。
主翼外板は、ボーイング社とユナイテッド・テクノロジーズ(United Technologies)が開発したRTM(Resin
Transfer Molding)樹脂トランスファー成形法で製造されている。 RTMは、熱硬化樹脂を溶かし金型に
流し込む、又は積層する方法で、高強度で継ぎ目の無いステルス性のRCS(レーダー反射断面積)に
優れた 一枚板の主翼外板を製作する事が出来る。主翼前縁には全幅にフラップ(Flap)を配置し、後縁
にはフラップとエルロン(Aileron:補助翼)を組み合わせたフラッペロン(flapperon)を配置している。

・水平尾翼部
水平尾翼(stabilator)は、超音速域での操舵性を確保する為全遊動式で、飛行概念実証(dem/val)
フェーズでのYF-22では台形だったが、EMDフェーズのF-22Aではダイヤモンド形に変更され、翼面積も
5.3m2まで大型化された。
水平尾翼の構造は、従来の様に高圧釜で高温高圧成形される複合材製では無く、グラファイト繊維を
コアにしてエポキシ樹脂を約490回積層する工程を経て製作される可動軸(ピボット・シャフト)に炭素繊維
系複合材の一枚尾翼板をサンドイッチ成形されている。この成形法は、複雑な形状の可動軸(ピボット・
シャフト)を容易に製作可能で、EMDフェーズでの設計変更をスムーズに行っている。
水平尾翼は、ロッキード・マーティン社が製作を担当していたが、量産フェーズの4041号機より、コスト
パフォーマンスを高める為、テキサス州ダラスに本拠を置くヴォート航空機工業社(Vought Aircraft
Industries)が担当する事になっている。

・垂直尾翼部
垂直尾翼は、機動性とステルス性の妥協点がシビアで、各種風洞実験より導き出されたデーターより、
YF-22からF-22Aでは、翼面積が30%減の8.3m2に、取り付け角度が30度から28度に変更され、小型
化されている。形状は台形で、小型化した為ステルス性が向上し、機動性及び操縦応答性を確保する
為に垂直安定版の翼面積を大幅に縮小し、方向陀の翼面積縮小は最小限に止めている。

・レドーム
F-22Aラプターでは、コストを抑える為新規開発の複合材は多用されていないが、機首先端のレドーム
(Radome)は、新規開発されたGFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics)ガラス繊維強化プラスチックを
使用している。このGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)は、形状の製作が容易で、耐熱、耐候性、電気
絶縁性と電波透過性に優れる。特にF-22A使用のレーダー周波帯域のみの信号をクリアに通過させ、
それ以外の電波信号を減衰させるバンドパス・フィルタ(Band-Pass Filter)が採用されている。
また機体水平線を基準に上下に扁平なデザインで構成されており、RCS(レーダー反射断面積)を最少
とするとともに、レーダー波を反射させる設計となっている。レドームの電撃防止帯(ライトニングアレスタ)
は、YF-22で試験的に導入され、量産機F-22Aでは装着され生産されている。

・キャノピー(風防)
操縦席を覆うキャノピーは、シエラシン社製(Sierracin Corporation)で耐衝撃性、機械的強度が大きく、
光透過率が高いポリカーボネート(Polycarbonate)が使用されている。また、キャノピーに限りステルス
デザインが施し難い為、酸化イリジウムをポリカーボネートにコーティングしレーダー波を反射させている
Coated Canopyと呼称されている。このレーダー波反射コーティング・キャノピーは全体の反射率を均一
にする為、支持枠が無く、操縦席全体を覆い分割して開閉されないAll Cover Canopy(全蓋タイプ)と
なっている。

・エアーインテーク
胴体下部前方の側面に位置するエアーインテーク(吸入空気取り入れ口)は、固定式で平行四辺形型と
なっている。これは、F-22Aラプターが最大速度マッハ2以上を設定していない設計となっている為で、
スーパークルーズ(超音速巡航)性能が重視されている為である。エアーインテークの先端平行四辺形
から内部は綺麗な円形に整えられRCS(レーダー反射断面積)を抑制するとともに、内部は層流剥離を
防ぎ摩擦抵抗係数を減らす目的でLFC(Laminar Flow Control)境界層制御を行っている。
LFCでは、エアーインテーク内部より微細な小穴で構成されているVortex Generator(ボーテックス・
ジェネレーター)を装着し、空気抵抗を極限にまで抑え層流剥離しにくい乱流境界層に変換させており、
低速飛行時、超音速飛行時でのスムーズな流入空気量制御を行っている。
エアーインテークの張り出しデザインは、ストレーク(Strake)を兼ねており、高仰角(AOA)飛行時の失速
を遅らせ、垂直尾翼の応答性を向上させる目的で設けられている。 また、胴体部及び主翼付け根部に
かけては、Blended Wing Body(ブレンデッド・ウィング・ボディ)でデザインされており、胴体部だけでも
高揚力を得られ、着陸時の低速進入の安定性を図っている。 BWBの設計は、機体の空力特性を高め
高揚力を得られる為燃料消費率を低減させる事にも寄与している。

・機体調達価格
2003年度の米国国防費概算要求では、国防省のF-22A調達数24機(ロット4)に対して23機が予算認可
され、総額46億ドルで議会の承認が得られている。ロット4の生産までが、これまでの開発費が上乗せ
されており、本格的な量産体制に入るロット5以降から年間36機の定量生産が開始され、調達費が低減
される事となる。ロット4で生産される23機のF-22Aは、単純計算で1機あたり、米国議会2003年度が開始
される2002年10月時点の為替レート1ドル=123円で換算すると約247億円となっている。
ロット5以降では、1機あたりが約1億8000万ドルで調達されると見込まれており、2004年12月時点の為替
レート1ドル=104円で換算すると約188億円で調達される。定量生産が維持されるロット5〜10までは、年々
調達費が低減され最終的には約160億円前後で調達される。

・その他
胴体内部には、各種アビオニクス装置と燃料タンク、埋め込み・貼り付けタイプの電子戦(EW)支援用
アンテナが内蔵されている。燃料タンクは、胴体中央部及び主翼内に積載され、燃料搭載量は11400
kgに及ぶ。これはF-15C型の機内燃料搭載量の1.5倍に及び、F-15C型の外部燃料タンク(610ガロン)
のおよそ5本分に相当する。


ジョージア州アトランタのマリエッタ工場で製作され
るラプターの機首部。コックピット及び各種アビオニ
クスが収納される。


ロッキード社テキサス州フォート・ワース工場で
製作中の胴体中央部。



マリエッタ工場で胴体部及び主翼が組み立てられた
EMDフェーズ初号機。ボーイング社製主翼の外側に
ロッキード社が製作を担当する主翼前縁フラップと
主翼後縁フラッペロンが、これから組み立てられる。



ボーイング社シアトル工場で製作中の一次構造材部
赤い矢印の多桁構造(計6本)がチタン合金製で主翼
強度の大半を受け持つ。この外側に継ぎ目の無い
一枚板で作られた二次構造材部(主翼外板)がサンド
イッチの様に挟み込み被せられる。


水平尾翼の可動テストを行っている。製造の担当は
ロッキード・マーティン社だが、ロット3の4041号機
からはヴォート航空機工業社が担当しコスト削減を
図る。主翼後縁から水平・垂直尾翼の重量は全体
から比べると僅かで、主翼フラッペロンと水平尾翼
は構造的に同一翼面を形成しており、無尾翼機とし
ての発展型設計が行われている。


製造中のF-22AA4018(量産初号機)。薄い灰色部
は空中戦の行われる高度と同じ輝度で濃い灰色部
は赤外線シーカーのエッジ認識を錯乱させる。






ロット3から量産ベースが開始され、ロット5以降は
年産36機体制が達成される。ロッキード・マーティン
社マリエッタ工場では、1機の製造に約11ヶ月を要
する。ロールアウト後は各種装備品の装着とテスト
が行われ、実際に進空するのは14ヶ月後である。
2004年時点では、ロット3の製造に着手しており、
機体製造番号4041までが完成され、空軍に引き渡
されている。
配備先は主に ヴァージニア州ラングレー(Langley)
空軍基地の第1戦闘航空団(1st Fighter Wing)で
2005年末には正式に部隊配備が行われ、戦力化
される。
画像は、機体組み立て作業がほぼ完了し、P&W社
製F119ターボ・ファンエンジンの取り付け作業を行っ
ている。その後方に2機同じ作業を行っている完成
まじかのF-22Aが見える。



■[F-22A ラプター エンジン・システム]

・JAFE(共通先進型戦闘機エンジン)概要
F-22Aラプターのエンジンは、ATF開発計画の初期段階から機体設計とは別にJAFE(Joint Advanced
Fighter Engine)共通先進型戦闘機エンジンとして先行して開発が進められた。JAFEでは、ジェネラル・
エレクトリック社とプラット&ホイットニー社が参加し、1986年10月にロッキード社とノースロップ社の2社が
ATF開発計画の競合企業に正式に選定されると、各社の飛行概念実証機(Demonstration/Validation)
はそれぞれ2機製作され、ジェネラル・エレクトリック社とプラット&ホイットニー社のエンジンが搭載され
テストが行われる事となった。ロッキード社のYF-22は、初号機(PAV-1)にジェネラル・エレクトリック社製
YF120(GE37)が搭載され、2号機(PAV-2)にプラット&ホイットニー社製YF119(PW5000)が搭載され
テストが繰り返された結果、1991年4月23日にプラット&ホイットニー社がJAFEのエンジンとして採用され
る事になり、制式型式名をF119-PW-100とされた。
開発は、P&W社フロリダ州West Palm Beach(ウェスト・パーム・ビーチ)工場で行われ、EMDフェーズでは
コネチカット州ミドルタウン工場で製造が行われた。

・プラット&ホイットニー社製F119-PW-100ターボファン・エンジン
プラット&ホイットニー社のF119-PW-100ターボファン・エンジンは、軸流圧縮方式で徹底した軽量化と
高効率化が図られ、the study of airflow using advanced computers(高度なコンピューターを使用する
気流に関する研究)でCFD(Computational fluid dynamics)流体力学がシミュレートされて、各ブレードの
接触面と壁端効果(End-wall Effect)が予測可能となり、極限の精度を達成できる設計が行われた。
F119エンジンでは、圧縮機・タービンを小型・軽量化する事で高回転化し圧縮比を向上させ、燃焼室への
流入空気量の制御と漏洩の防止、温度管理が効率化されて設計され、3段のファン、6段の圧縮機、
低圧/高圧タービンから構成され、軸上部品数を減らしている。 
F-15CのF100-PW-229エンジンでは、圧縮機が10段使用されており、F119エンジンでは段数が減った
にも関わらず圧縮比は25とほぼ同程度で、バイパス比もF100では0.7対1、F119では0.2対1と小さくなり、
圧縮機、タービン、燃焼室の効率が比較して50%も向上している。
この為F119の推力は大幅に向上し、最大推力は1基分で35000〜39000ポンド(15876〜17690kg)を
発揮し、F-22AラプターではF119-PW-100ターボファン・エンジンを2基搭載する。
APU(補助動力装置)は、ボーイング社製AMAD(Airframe-Mounted Accessory Drive)が搭載され、
エンジンスタート用のATSS(Air Turbine Starter System)とジェネレーター、油圧ポンプ、電子制御部
からなっている。


・ベクタード・スラスト方式
F119エンジンは、機動力と操縦応答性を向上させる為に、エンジン排気ノズルをThrust Vectoring
(ベクタード・スラスト)可変推力偏向方式とし、上下2枚のパドルが上方20度、下方20度まで可動する
2次元推力偏向タイプとなっている。この為離陸時には、パドルを下方に向ければSTOL(Short Take Off
and Landing)短距離離陸性能が向上し、低速/超音速域でも良好な機動性を発揮し、最大で80度の
AOA(高迎え角)操縦制御が行える。

・FADEC(エンジン電子制御装置)
F119エンジンの制御は、CIPに管理されたFADEC(Full Authority Digital Engine Control)エンジン電子
制御装置で出力、燃料噴射量、温度管理、2次元推力偏向角度等が一元的に行われる。 パイロットの
意図する機体の操縦に感応してCIPは、適切な2次元推力偏向角度を選択しパドルを可動させ機動性を
向上させると共に、パイロット自身がコックピットのエンジンスロットルに付けられたパドル操作レバーを
動かす事も可能である。その場合CIPの飛行制御ソフトウェアは、急激なピッチレート(Ptich Rate)
(*11)
を取らない様に監視抑制プログラムが作動している。

(*11)機首方向の上下の縦揺れ

・スーパークルーズ(超音速巡航)
F-22Aラプターは、アフターバーナー(推力増強再燃装置)無しでスーパークルーズ(超音速巡航)が
行える事に重点が置かれ機体設計とJAFE(共通先進型戦闘機エンジン)の仕様が決められている。
その為、F-15C/Eの約1.5倍の出力を発揮し戦闘機に搭載されるエンジンとしては世界最大の推力を誇る
F119-PW-100ターボファン・エンジンを2基搭載する事となる。スーパークルーズの主眼は、超音速域で
の継続時間であり、その時の機動性の確保である。
現用の空軍のF-15C/EやF-16等は、アフターバーナーを使用すれば超音速域での飛行は可能だが、
莫大な燃料を消費する為使用時間は数分程度に限定される。F119エンジンはシャフト上の備品点数を
減らして軽量化し、高効率化を図った事により燃費と推力を向上させて、スーパークルーズ時には最大
マッハ1.58、アフターバーナー使用時にはマッハ1.8〜2.0を発揮するに至り、、スーパークルーズの持続
時間も30〜40分とF-15C/EのF100-PW-229エンジンと比較して10倍も長くなっている。
機体設計でも、メイン/サイド ウェポンベイに兵装を収納し機外に兵装や増槽(外部燃料タンク)を装備
しない事及びステルス性の追求で機体表面の凹凸を避けた設計は、Cd値(Constant Drag)空気抵抗
係数を低減させ、結果的に超音速域でのスーパークルーズ性能に寄与している。

F-22Aでは、設計段階から最大速度の要求仕様はマッハ2.0に設定されており、また開発費の高騰が
見込まれた為(実際に開発費は増大した)新規開発される複合材の開発プログラムは見送られている。
この複合材は、超音速域マッハ2.0以上での空気との摩擦に耐えられる耐熱性熱硬化性樹脂で、
これが開発された場合F119エンジンの推力からマッハ2.5以上が出せると考えられている。 実際には、
エアーインテークは固定式でFADECエンジン電子制御装置で出力制御が行われておりマッハ2.0以内
に抑えられる様にプログラミングされている。尚最大飛翔速度マッハ2.0はボーイング社の公表値である。


プラット&ホイットニー社製F119-PW-100ターボ・
ファンエンジン。飛行概念実証(dem/val)フェーズ
のYF-22 PAV-2に搭載時はYF119と呼称され、
1991年4月23日にATFのJAFEに採用され制式化
された。



F119ターボ・ファンエンジンの内部構造図。圧縮
機は段数を減らして軽量化した事により高回転を
達成し、出力の増大に寄与している。




P&W社で各種行われた、エンジンダイナモテスト。
排気ノズル(パドル)は上下にのみ可動可能な
二次元推力偏向タイプとなっている。


アーノルド空軍基地内のAEDC(アーノルド工学
開発センター)で各種テストが行われたF119。



同じくAEDCで行われたエンジンダイナモテスト。
テスト初期段階から長時間燃焼テストが繰り返さ
れ信頼性の向上に努めている。



ティンダル空軍基地所属米空軍機体番号018号
機、機体製造番号4018号機の後部ベクタード・
スラスト可変推力偏向方式の上下のパドル。
離陸時に下方20度に固定され約1000mで短距離
離陸を可能としている。


1992年4月25日に墜落したYF-22 PAV-2の機体
後部。墜落の衝撃で左エンジンは炎上したが緊急
エンジン停止・自動消化装置が作動し機体の炎上
は免れた。



EMDフェーズでのエドワーズ空軍基地所属004号
機。 実機を使用して極限下環境テストを行って
おり、高温・極低温・雨中テストが行われた。なお、
この画像はどこで撮影されたのかは不明。



左の画像と同じでF-22A 004号機には雪が降り
積もっている。機体後部の排気ノズルに排気ダク
トが接続されているのが判る。






■[F-22A ラプター ステルス(Stealth)]

・機体ステルス性能

F-22Aラプターの設計で最も苦慮したのが、機体のステルス性であった。機動性を犠牲にしステルス
性を重視したロッキード・マーティンF-117A戦闘機(実体は攻撃機)とは違い、F-22Aではステルス性
と機動性を両立しなければならなかったからである。
航空機のステルス性は、主にレーダー対策技術で、UHF波やSHF波のレーダー波を反射させない方法
が用いられる。 ステルス技術の研究は、DARPA(米国国防省防衛高等研究計画局)で1974年から
始まりF-117Aを誕生させている。F-22Aラプターは、このF-117Aのステルス設計技術を継承しており、
機動性とのバランスが重視され開発されている。
ステルス性能を確保する為には、機体表面の凹凸や突起物を極力避ける事だが、その為に機体外に
装備するミサイル等の兵装及び増槽(燃料タンク)は全て胴体内に収納し、機外の装着は二次的なもの
とする事でレーダー波の反射を極限にまで押さえる事に成功している。また平面を多用し全ての傾斜の
角度は二次元的・三次元的に胴体面・主翼・垂直/水平尾翼で平行、同一角度としている、平面整列
(Planform Alignment)で設計されている。
F-22Aでは、まず機体形状が決められ、デルタ翼が採用されている。機体に入射するレーダー波は、
特殊な環境及び条件を除いて同じ角度で反射する為、主翼前縁後退角は大きいほど後方へ反射する。
その為主翼の前縁後退角は、YF-22では48度で設計され、その後EMD(先行量産型)のF-22Aでは
42度に変更され、後退角を大きくし、ステルス性を向上させている。同じ理由で垂直尾翼の外側の傾斜
もYF-22の30度からF-22Aでは28度に設計変更されている。また機動性を損なわずにステルス性を
追求して垂直尾翼面積の縮小にも成功している。主翼端及び垂直尾翼頂、胴体各部に配置される
各種EW(電子戦)アンテナは、凹凸を無くす為全て埋め込み及び貼り付けタイプとなり、ボーイング
B757-200(Delivers F-22 Integrated Avionics Software)でその配置とデザインがテストされている。
エアーインテーク及びエンジンのタービンローター(Turbine Rotor)部は、最もレーダー波の反射角が
浅くなり探知されやすい。その為、エアーインテークの先端部は、RAM(Radar Absordnt Material/電波
吸収剤)が使用され、レーダー波を減衰させている。RAMの塗布は、通常異なるレーダー波に対処する
為数種類の電波吸収剤を積層して塗布されるが、重量が増加し、また超音速の戦闘機では空気の
摩擦を考慮して耐熱性で無ければならない。F-22Aのインテーク先端部は、複合材の中にRAMが
コーティングされており、構造的に一番外側外皮(機体表面)は、レーダーを透過する耐熱性複合材で
最下層のRAMでレーダー波を拡散減衰させる。外皮とRAMの中間には、広域帯のレーダー波を吸収
するハニカム構造の複合材が封入されており、最終的にはRAMで反射されたレーダー波を吸収して
いる。エアーインテークより入射したレーダー波が直接タービンローターに照射されない様に、平行四辺
形の入り口から円形に綺麗に整形されており、さらに直線的ではなくオフセットされている。
エンジン排気ノズルのパドル(ベクタード・スラスト・システム)にもRAMが使用され、高温の排気ガスに
耐えられる様に新規開発されたNew Ceramic-matrix(ニュー・セラミックマトリックス)耐熱セラミック
マトリックスでレーダー波を吸収し熱変換させて、反射を抑えている。
1994年にEMDフェーズに移行する段階でYF-22(試作機)では、ステルス性に関する重大な問題点が
惹起し、解決に向け対策チームが編成されている。問題点は、胴体部の兵倉(ウェポンベイ)のパネル
ドアやメンテナンスハッチ等のRCSがモックアップ(実物大模型)の電波暗室テストで予想以上に大きい
事が判明している。これらの部位には、レーダー波の入射角を乱反射させ減衰させて入射角と同一
方向に反射さない、V字ジクザク構造の鋸状デザインが取り入れられている。対策チームは、V字の数
を減らしたデザインに変更しRAM(電波吸収剤)を使用してRCSの低減に成功している。
F-22Aラプターでは、レーダーの被探知を避けるとともに、自らのレーダー及び電子戦装置の使用に
よる被探知を防止する為に、レーダーの走査照射を制御する各種モードが用意され、短時間の照射で
情報を入手する事が可能となっている。また電子戦装置にもパッシブ型のセンサーが搭載され、レーダ
ーを使用しなくても、コンピューターのデーターベースと照合するものは個体の識別が可能となっており、
このシステムは、早期警戒管制機E-3 AWACS等の他のセンサーとデーターリンクされて戦術情報として
利用されるので、F-22Aを電波探知する事は非常に困難である。

・赤外線ステルス性能
F-22Aラプターのステルス能力は、レーダーの被探知だけでは無く、赤外線探知の面からも設計に
取り入れられている。赤外線抑制策は、最も大きい発生源であるエンジン排気では、アフターバーナー
を使用せずにスーパークルーズ(超音速巡航)能力を発揮出来、赤外線放出を最小限に止めている。
また排気ガスの形状は、ベクタード・スラスト・システムの上下のパドルで大気と扁平に混合される為
円形の排気ガス形状より排出ガスの温度低下が早い。
機体内部の電子装置も大きな熱源となっており、冷却システムによって変換された熱は、胴体中央
上部の2ヵ所に設置されたラジエター口より機外に放出される。その他には、太陽光によって熱せられ
た機体や超音速域での空気摩擦熱は、機体表面外皮に赤外線放射コーティング施されており、IR
センサー(赤外線シーカー)に探知されない波長に変換して大気中に放出している。



■[F-22A ラプター レーダー・アビオニクス]

・CIP(共通統合プロセッサー)
F-22Aラプターのコンピューター・アビオニクス・システムは、米国国防省が開発したVHDL(VHSIC
Hardware Description Language)仕様のVHSIC(Very High Speed Integrated Circuit/超高速集積
回路)を搭載したCIP(Common Integrated Processor/共通統合プロセッサー)を2台使用している。
CIPは、GM(ジェネラル・モーターズ)社傘下のHughes Electronics(ヒューズ・エレクトロニクス)社が
開発を担当し、従来の戦闘機の様に個々に独立してプロセッサーを配置するのでは無く、飛行制御、
エンジンシステム制御、レーダー、通信、EW(電子戦システム)、ナビゲーション・システム等を統合
制御する中枢コンピューターとなっている。最も重要な部分には独立してプロセッサーが配置されるが
CIPは、それらともSBS Technologies社製MIL-STD-1553光ファイバ・データーバス(最大8ギガbps)
で接続されており、統合制御を行っている。
CIPの情報処理・演算処理能力は、通常飛行モードで700MIPS(Million Instructions Per Second)で
戦闘モードでは、最大2000MIPSを発揮、耐熱・極低温・耐G設計で自己診断、自動再プログラミング
機能(Automatic reprogramming)を持ち、一方に重大な故障が発生した場合には、他のモジュール
が引き継ぐ事になっている。
2台のCIPには、それぞれ66個のモジュール・スロットが用意され、設計段階ではその内の75%が
使用され各モジュール(レーダーやフラップアクチュエーター等)と接続されている。 EMD機及び量産
機では、66スロット中47スロット(71%)が使用され効率化が図られている。さらにCIPのモジュール・
スロットには、既存の設計を変更しなくても約30%の拡張性が考慮されている。CIPも2台の他に、もう
一つCIPユニットが追加できる様に設計段階でスペースが確保されており、その場合200%の拡張性
が達成される。 また胴体前部の燃料タンクは、将来の拡張性を考慮してCIPの搭載が可能な様に
設計されており、300%の能力拡大が見込める。

・CIP Software
CIPのソフトウェア・プログラムは、米国国防省の標準高等言語であるエイダ(Ada)で書かれていて、
ソ−スコ−ドは170万行に及び、その9割近くがアビオニクス関連の制御、残りが飛行制御、エンジン
制御に割り当てられている。EMDフェーズのF-22A4001(評価初号機)から本格的なSLOC(Source
Lines of Code)が試験され、Block I から進化して最新のBlock IVがF-22A4018号機(量産初号機)
に搭載される予定となっている。
SLOCの戦術情報データー・ベースは機密保持の為、DFTC(Data File Transfer Cartridge)データ・
ファイル転送カートリッジに収められ、パイロットが搭乗時にロードし、機体を離れる時には持ち出し
飛行データーとして管理・保全される。

・F-22Aラプターのアビオニクス・システム概要
F-22Aラプターのアビオニクス・システムは、CNI(Communications/Navigation/IFF subsystems)
通信/航法/敵味方識別サブシステムをTRW社(現ノースロップ・グラマン社)が担当、EW(Electronic
Warfare )電子戦システムをロッキード・マーティン社が担当、レーダー・アビオニクス・システムは
Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)社とTexas Instruments(テキサス・インスツルメンツ)社
が担当していたが、テキサス・インスツルメンツ社は1997年に軍事部門をRaytheon(レイセオン)社に
売却した為現在はレイセオン社が担当している。

・CNI(通信/航法/敵味方識別サブシステム)
CNI(Communications/Navigation/Identification Friend or Foe/subsystems)通信/航法/敵味方
識別/サブシステムでの通信サブ・システムは、UHF/VHF帯及びHF帯の暗号化機能付音声無線
通信機器を備えており、HF帯の音声無線では電離層の反射を利用して地平線外の遠距離無線通信
が行える。データー・リンク・システムは、陸海空の3軍のプラットフォームに自動配信されるJTIDS
(Joint Tactical Information Distribution System)統合戦術情報分配システムが搭載され、専用の
ターミナルユニットFDL(Fighter Data Link)を介して行われる。その他に飛行小隊間及び外部センサ
ーの取得した戦術データーを入手する、IFDL(Intra-Flight Data Link)も備えている。
INS(Inertial Navigation System)慣性航法装置のIRS(Inertial Reference System)慣性照合装置に
は、Litton industrys(リットン・インダストリーズ)社のLN100F Ring Laser Gyroscopes(リングレーザー
・ジャイロスコープ)が2個備えられ、コックピット前に備えられた1個は、CIP(共通統合プロセッサー)
に直接データーバスで接続されて航法システムとナビゲーション・システムをサポートしている。IRSは、
30度以上のAOA(迎え角)では、唯一の信頼できる航法装置としてGPSと併用されている。
対地攻撃用に搭載されているSAR(Synthetic Aperture Radar)合成開口レーダーは低高度高速
飛行用に地形追随回避操縦システムとデーター・リンクされ利用される。
AIFF(Advanced Identification Friend or Foe)発達型敵味方識別装置は、Raytheon(レイセオン)社
製AN/APX-100(V) IFF Mark XIIが搭載されている。
これらのCNIサブシステムの各種アンテナ類は、ボーイングB757-200(Delivers F-22 Integrated
Avionics Software)を使用したFTB(Flying Test Bed)飛行試験機で入念に効果と配置がテストされ
た結果、CNIアンテナの後方域を広げる為に翼端に斜め前方と斜め後方に向ける設計変更が行わ
れ、飛行概念実証(dem/val)フェーズYF-22(PAV-1/2)の主翼端がF-22A(EMD/量産機)ではカット
されて配置されている。VHFアンテナ類は、垂直尾翼前端、主翼端と主翼前縁フレーム内に埋め込ま
れている。

・INEWS(統合電子戦システム)
INEWS(Integrated Electronic Warfare System)統合電子戦システムのIEWS(Information &
Electronic Warfare Systems)情報・電子戦システムは、Lockheed Martin Sanders(ロッキード・
マーティン・サンダース)が担当していたが、2000年7月に英国のBAEシステムズ社に売却した為、
ロッキード・マーティン社とBAEシステムズ社の共同で開発が進められた。 IEWSは、RWR(Radar
Warning Receiver)レーダー警戒装置、MLDS(Missile Launch Detection System)ミサイル発射探知
システム、電子支援システム(ESM)として、レーダーを使用しなくても敵機のレーダー/無線通信/
妨害電波等を探知するAN/ALR-94 Multi-Purpose Passive Receiver System(パッシブ式多目的
受信機)、自己防御用にAN/ALE-52チャフ・フレア・ディスペンサーを装備している。
これらのIEWSの各種機器及びアンテナ類は、主に主翼前部・主翼端に収められ、MLDSはキャノピー
の前後及びコックピット付近左右側面、胴体前部下面2箇所にそれぞれ設置されている。AN/ALE-52
チャフ・フレア・ディスペンサーは、後部胴体と主翼の付け根部下面に2箇所、主翼面後部に2箇所計4
箇所設置されている。

・AN/APG-77 ESR APAR(Active Phased Array Radar)
F-22Aラプターの搭載するレーダーは、Advanced Tactical Fighter(次期戦術戦闘機)開発計画当初
より先行して開発が進められ、ウェスティングハウス・エレクトリック(Westinghouse Electric)社が担当
していたが、1996年に航空電子部門をノースロップ・グラマン社に売却した為、現在は同社とレイセオン
社が開発を担当している。ノースロップ・グラマン社は、メリーランド州ボルチモア(Baltimore)工場で
AN/APG-77 Electronically Scanned Radarを製作し、各種テストを経てF-22Aに搭載されている。
AN/APG-77は、APA(Active Phased Array)アクティブ・フェイズドアレイ方式のレーダーで、固定した
アレイ上に2000個の送受信素子エレメント・モジュールが電子走査を行っており、従来のレーダーの様
に機械的に探査範囲を走査するのではなく、送受信素子エレメント・モジュールがそれぞれ個々に発信
パターン・時間を制御する事で平面アンテナ一面で位相制御や電力分配を低/高出力で行なう事が
可能で、.ビーム方向を各IPP(パルス繰り返し周期)ごとに任意の範囲で設定可能である。
その為、APA(アクティブ・フェイズド・アレイ)方式は、多彩な走査モードを備えており、広いレーダー
視野、長大なレーダー・レンジ、高速移動目標の捕捉が容易で、また信頼性が高く、省電力、高出力
が得られる。
AN/APG-77 APA方式レーダーは、全体を独立した18群(送受信素子エレメント・モジュールの集合体)
のサブ・アレイに分割する事により、18の電子走査(スキャン)モードを備えている。
このサブ・アレイは、ESA(Electronically Scanned Array )電子的走査配列と呼ばれており、最大ESA
スキャン・モードでは、機体水平方向に240度(左右各120度)の範囲を瞬時に探索可能となっている。
これは、F-15C型のAPG-63パルスドップラー・レーダーに比較して約14秒も早い。F-22Aラプターの
レーダーは、大出力で非常に短時間のレーダー・ビーム照射により瞬時に情報を収集し、相手の
RWS(Radar Warning System)レーダー警戒システムに反応する前に、またRJS(Radar Jamming
System)レーダー妨害装置を作動させる前に大量の戦術情報を入手出来る事を意味する。
その他のESAスキャン・モードは、長レンジ/狭角の前方警戒/探知用にVolume Search(High)モード、
中レンジ/狭角のプラットフォーム捕捉/追跡用にTrackモード、長レンジ/位相制御のターゲット動静
解析用にCued Searchモード、中レンジ/狭角の攻撃用にAttackモード、短レンジ/指向性の状況把握
用にIDモード等が用意されており、これらのモードを組み合わせたり、短時間に連続的に使用して、
自機の発するレーダー波を最小限に止めて尚且つ最大限の情報収集を行い、相手にこちらの位置や
情報を悟られる事無く、LPI(Low Probability of Intercept)低捕捉性を高めている。
その他にAN/APG-77には、後期量産機からサイド・アレイを装着させ最大ESAスキャン・モードでは、
機体水平方向に270度の探知距離能力拡大を図る。また、対地攻撃用にSAR(Synthetic Aperture
Radar)合成開口レーダーが付随し、機首ノーズコーン下面と主翼付け根部に赤外線を透過する特殊
な複合材を使用したカバー付の小窓が有り、低高度航法及びFLIR(Forward Looking Infrared rays)
前方監視用赤外線目標指示器が収められている。
(*12)

(*12)
SAR(合成開口レーダー)がAN/APG-77に付随するものなのか、またFLIRの機体取り付け位置
及び型式名は公表されておらず、現時点では判明している部分だけを憶測で掲載しました。今後詳細
が判明次第、この項で追記します。

・LFTC(液冷却装置)
LFTC(Liquid flow-through cooling)は、主にVHSIC(超高速集積回路)、CIP(共通統合プロセッサー)
AN/APG-77レーダー・ユニット、各種アビオニクス機器の冷却装置で、超音速域をスーパークルーズ
(超音速巡航)するF-22Aラプターでは空冷式は困難な為、液冷式となっている。温度管理はCIPが
一元的に行い、各ユニットとラインにはサーモスタット(温度調節装置)とソレノイド・バルブ(電磁弁)が
取り付けられ、高高度でのオーバークール(過冷却)を抑止している。
LFTCで熱交換された熱は、赤外線探知を避ける為胴体中央上部の排出口から機外に放出される。

・Avionics Racks(電子機器ラック)
アビオニクス関連の機器は、胴体前部及び機首コックピット下に集中的に収められ、整備性とLFTC
の冷却システムが効率的に行えるように設計されている。F-22Aラプターでは、センターパイロンが
無い為胴体の最低地上高が低く、電子機器ラックのメンテナンスハッチは整備員の胸の高さに位置
している。その為整備性が向上し、またPMA(Portable Maintenance Aide)整備用携帯端末を使用
すれば故障箇所を瞬時に把握でき、修理はユニットごとのボックスを交換するだけである。

・コックピット
F-22Aのコックピットは、大きく分けてHUD(Head-Up Display)ヘッドアップ・ディスプレイとHDDs(Head
Down Displays )ヘッドダウン・ディスプレイズに分かれている。 HUDは、パイロットが前方に視線を向け
たまま飛行状況の情報や兵装照準を行えるように、4.5インチのCombiner Glass(コンバイナー・ガラス)
にレーザーホログラフィで投影して表示する。 HUDの真下には、各種飛行操縦用の操作パネルICP
(Integrated Control Panel)統合コントロール・パネルが有り、HUDとHDDsの各種ディスプレイのコント
ロール操作機能も兼ねている。
HDDsには、従来の戦闘機等ののコックピット・ディスプレイに使用されている重く電力消費の激しいCRT
(Cathode Ray Tube:ブラウン管)に替わって薄型軽量で低電力消費、信頼性が高く、直射日光による
反射を低減し、パイロットの視認性に優れている、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)が
配置され、アナログ計器類は一切が廃止されている。 LCDは、2台のUFDs(Up-Front Displays)と
God's-eye view(神の目の視界)と呼ばれるフルカラータイプのMFD(Multi-Function Display)多機能
ディスプレイ4台からなっている。MFDは、God's-eye view(神の目の視界)の中枢となるメインの8インチ
サイズPMFD(Primary Multi-Function Display)が中央に配置され、各種戦術状況表示とSA(Situation
Assessment)状況評価を行っている。
PMFDの詳細な情報は、両側と下に配置されたSMFDs(Secondary Multi-Function Displays)に表示
される。SMFDsは、6.25インチのLCDで右が攻撃用で左が防御用情報を表示し、一番下パイロットの膝
位置のSMFDsは、機体システムの状況を表示する。 攻撃/防御用のSMFDsの上には、3×4インチの
UFDs(Up-Front Displays)が計2台配置されており、右がSFG/FQI(Stand-by Flight instrumentation
Group and Fuel Quantity Indicator)フライト制御・燃料システム関係の表示を行い、左がICAW
(Integrated Caution/Advisory/Warning)統合警戒・警報システムとCNI(Communications/Navigation
/Identification)通信/航法/敵味方識別の表示を行っている。

コックピット内の操縦系は、エンジン出力制御を行うスロットル・レバーと機体制御を行うサイドスティック
方式の操縦桿で行い、これらの操縦系には、飛行操作の他にスロットル・レバーとサイドスティック
から手を離さずにMFDの表示切り替え操作、兵装操作、各種アビオニクス操作が可能な様にHOTAS
(Hands on Throttle and Stick)と呼ばれる操作システムが付随されている。
HOTASは、F-16やF/A-18にも使用されており、F-22Aではスロットル・レバーに二次元推力偏向操作
レバーが備えられている。サイドスティックは3重系統のFBW(Fly by Wire=フライ・バイ・ワイヤ)方式の
飛行操縦と各種ボタン・スイッチ操作で約60の機能操作が行え、パイロットのワークロードを大幅に
軽減している。

F-22A機首レドーム内に搭載されるAN/APG-77
アクティブ・フェイズドアレイ・レーダー。今後は、
機首部側面に配置されるサイド・アレイが後期量産
機に装着される予定で、走査範囲が拡大する。


F-22Aのレドームとレーダー、主翼端と各種
アンテナが同一の物がボーイングB757-200に
装着され機能効果テストが行われた。
同機はFTB、空飛ぶ実験機と呼ばれている。


1.HUD(ヘッドアップ・ディスプレイ)
2.ICP(統合コントロール・パネル)
3.PMFD(プライマリー・多機能ディスプレイ)
4.SMFDs(攻撃用)
5.SMFDs(防御用)
6.SMFDs(機体・飛行システム用)
7.UFDs(SFG/FQI用)
8.UFDs(ICAW/CNI用)
9.サイドスティック(HOTAS搭載)
10.スロットル・レバー(HOTAS搭載)




■[F-22Aラプター 兵装システム]

・兵装概要

F-22Aラプターは、ステルス性能を損なわずに兵装を搭載する為に、全て機内の兵器倉(Weapons Bay)
ウェポンベイに収めている。 ウェポンベイは、胴体下部のMain Weapons Bay(メイン・ウェポンベイ)と
エアーインテーク側面に左右各1箇所あるSide Weapons Bay(サイド・ウェポンベイ)を備えており、兵装
使用時には、メイン・ウェポンベイのパネルドアは二重折りたたみ式、サイド・ウェポンベイでは観音開き式
に開閉する。メイン・ウェポンベイには、中距離空対空ミサイルAIM-120A AMRAAM(Advanced Medium-
Range Air-to-Air Missile)アムラームを4基、C型は最大6基を搭載可能となっている。
サイド・ウェポンベイには、短距離空対空ミサイルAIM-9M/Xのみが専用に搭載され、左右各1基合計2基
搭載可能となっている。メイン・ウェポンベイには、AMRAAM(アムラーム)以外にJDAM(Joint Direct
Attack Munitions/ジェイダム)統合直接攻撃爆弾を2基搭載可能で、その場合AMRAAMの携行は2基と
なる。
固定武装は、胴体右側の主翼付け根上部にM61A2バルカン砲が搭載されており、銃口は使用されない
時には、RCS(レーダー反射断面積)を低減させる為に閉じられている。
制空権掌握後ステルス性が重視されないミッションでは、主翼下に左右各2箇所合計4箇所の外部ハード
ポイント(パイロン)を設置し、最大で5000ポンドの装備を搭載する事ができる。各パイロンには2基の
AMRAAMと1基の610ガロン増槽(外部燃料タンク)を搭載可能となっている。

・Side Weapons Bay & AIM-9M/X Sidewinder
サイド・ウェポンベイには、短距離空対空ミサイルAIM-9M型及びX型のみが装備可能で左右各1基づつ
搭載できる。AIM-9M型サイドワインダーは、GM(ジェネラル・モーターズ)社傘下のHughes Electronics
(ヒューズ・エレクトロニクス)社が開発、その後同社は軍事部門をRaytheon(レイセオン)社に売却した
為、現在はM型/X型はレイセオン社が製造している。M型は、米空・海・海兵隊の航空機に使用される
標準的な短距離空対空ミサイルで目標の赤外線を追跡するパッシブ型の赤外線ホーミング・シーカー
を装備している。全長は2.85m、直径は12.7cmで弾頭は9.4kgHE破片効果弾頭、個体推進ロケット・
モーターは最大射程約18kmを発揮できる。 AIM-9X型は、現在最終開発段階でロケット・モーターを
推力偏向式スラスターとし機動力を向上させ、シーカーの左右90度までロックオンが出来るオフ・ボア
サイト能力を獲得している。M型に比べて若干全長(3.02m)が伸びたものの、設計段階から搭載を予定
していた為サイド・ウェポンベイの構造変更は無く、推力偏向式スラスターが機動力を受け持つ為、前部
安定翼及び後部操舵翼を小型化し、F-22Aラプターのサイド・ウェポンベイに収納し易くなっている。
X型のシーカーは、パッシブ型赤外線ホーミング式とJHMCS(Joint Helmet-Mounted Cueing System)
統合ヘルメット搭載目標指示システムと連動し、パイロットの向いた方向にレーダー誘導される方式が
併用され、最大射程20〜30km、2005年頃に実戦配備される予定である。

サイド・ウェポンベイのAIM-9M/Xサイドワインダー専用Launcher(発射装置)は、Lockheed Martin
Tactical Aircraft Systems(ロッキード・マーティン・タクティカル・エアークラフト・システムズ)社が開発
したLAU-141/A Hydraulic Launcherが備えられている。 LAU-141/Aランチャーは、F-15C/E型に装着
されているLAU-128/Aランチャーの改良・発展型で、通称「空中ブランコ」と呼ばれるTrapeze Launcher
は、油圧式アクチュエーターでシリンダーがレール・ランチャーを押し出すと機械的に伸張するトラピーズ
・アームによってレール・ランチャーがせり出し、レール上に装着されたサイドワインダーがそれに沿って
発射される。サイドワインダーが装着されているレール・ランチャー後方には、小さな排煙・炎用の板
Exhaust Plume Deflector(エキゾースト・プレーム・ディフレクター)が装着されサイド・ウェポンベイ及び
主翼に燃焼ガスが当たらない配慮がなされている。LAU-141/Aランチャーは展開時(サイドワインダー
発射時)、機体水平線下方15度、側方15度の傾斜が付けられており、やや外側下方に向けて発射され、
サイド・ウェポンベイからサイドワインダーの発射は1秒しか要しない。

現在開発中のAIM-9Xサイドワインダー。F-22Aの
サイド・ウェポンベイに収納できるサイズに設計され
ている。


サイドウェポンベイ上下のパネルドアが開放され
搭載されているAIM-9M型がみえる。



LMTASのテクニカル・スタッフがサイドウェポンベイ
のLAU-141/Aランチャー作動テストを行っている。
サイドワインダーM型は、後部操舵翼が大型で
ウェポンベイの設計上の余裕が無い。その為X型
が実戦配備されればM型の搭載は終了する。


サイドウェポンベイのLAU-141/Aランチャー外観図。
機械作動のトラピーズ・アームが伸張しランチャー
が展開し、レール・ランチャーに沿って発射される。
上図サイドワインダーのブースターすぐ後方にエキ
ゾースト・プレーム・ディフレクターが備わっている。


左右のウェポンベイ・パネルドアがオープン状態で
高G機動飛行を行うF-22A。左側はランチャーが
展開されサイドワインダーの発射準備が整っている。




ネリス空軍基地第422試験飛行隊所属の空軍機体
番号011号機の右側サイドウェポンベイのAIM-9M。
LAU-141/Aランチャー展開時(発射時)には射界を
確保する為にやや機体下方、側方を向けて伸張
する。


ATF EMDフェーズF-22 3号機。 米空軍機体番号
003号機、機体製造番号4003号機。エドワーズ空軍
基地所属機で、海軍兵器試験場チャイナ・レイク
上空でAIM-9Mサイドワインダーの試射を行った
瞬間の画像。




・Main Weapons Bay & AIM-120C AMRAAM
メイン・ウェポンベイには、制空/要撃ミッションでは、中距離空対空ミサイルAIM-120C AMRAAMを6基
搭載し、対地爆装ミッションでは1000ポンド級JDAM(統合直接攻撃爆弾)2基とAMRAAM(アムラーム)
2基が搭載される。AIM-120C AMRAAMは、Raytheon(レイセオン)社製でF-22AラプターにはC型のみ
が搭載される。AMRAAM(アムラーム)のA型は、AIM-7スパローの後継として1991年に米空軍、1993
年に米海軍に配備され、1994年には新型シーカーを装備したB型が登場した。C型は、AIM-120B型を
改良しF-22Aのメイン・ウェポンベイに搭載出来るように設計変更が行われた結果、安定翼及び後部
操舵翼を小型化し、軽量化したにもかかわらず同性能を維持した為、今後米空海軍の全戦闘機には
C型が搭載される事となる。
AMRAAM(アムラーム)はAIM-7スパローと比較して、重量を70%以下に抑え、小型化した事により
AIM-9Mサイドワインダーのミサイル射出ランチャーに搭載可能となり兵装携行数が増えた。スパロー
では、セミアクティブ・ホーミング方式のシーカーで、発射母機は最初から最後まで敵機をロックオン
し続ける必要があり、その間の攻撃に対しては脆弱性が露呈していたが、AMRAAM(アムラーム)では
中間誘導が慣性誘導と発射母機からの指令・アップデート(更新)誘導の併用方式で、終末誘導は
ミサイルが搭載するレーダーによるアクティブ・レーダー誘導方式となっている。
その為発射後にレーダーを照射し続ける必要は無く、その間の攻撃に対しては回避行動等の対処が
行える様になって生存性を高めている。AMRAAM(アムラーム)がFire and Forget(打ちっ放し能力)を
獲得した事により、F-22Aは戦術運用上の柔軟性が高まり同時多目標攻撃を行える能力を有する事
となる。AMRAAM(アムラーム)の全長は3.66m、直径は17.8cm、重量は150.75kg 、弾頭は22kgHE
破片効果弾頭、個体推進ロケット・モーターは最大射程約50km以上となっている。

メイン・ウェポンベイに搭載されるAIM-120C AMRAAMは、EDO Corporation(エド・コーポレーション)製
LAU-142/A AMRAAM Vertical Eject Launcher(AVEL)に装着されており、ウェポン・ベイの右半分に
3基、左半分に3基、計6基のAVEL(エーベル)が装備されている。 AVELは、AMRAAMが直接装着され
る取り付けランチャーと9インチ(23cm)伸長する折りたたみ式アーム部を油圧/エアー式シリンダーで
垂直に可動展開させてウェポン・ベイより機外にミサイル本体を射出する。
AVEL本体は、アルミ合金製で重量は115ポンド(52kg)、油圧/エアー式シリンダー及び折りたたみ式
アーム部の展開力は27fps
(*13)、AMRAAMは毎秒25フィート、最大加速40Gでウェポンベイから真下に
向かって発射される。AMRAAMの発射は、メイン・ウェポンベイの二重折りたたみ式パネルドアを開放し
LAU-142/A AVELの展開、パネルドアを閉じるまで3秒しか要しない。

(*13)foot-pound-second system (運動・仕事量)

オープン状態の胴体内兵器倉(メイン・ウェポンベイ)
パネルドア。 ドアは、二重折りたたみ式で左右に
開閉する。


最大搭載量である6基のAMRAAMがメイン・ウェ
ポンベイに装備されている状態。



メイン・ウェポンベイでAMRAAMを積載するLAU-142
/A(AVEL)。この画像では、アームが展開されている
状態だが、実際には右の画像のようにアームが折り
たたまれてAMRAAMを保持する。


メイン・ウェポンベイの右半分に装着されている3基
のAVEL。発射時にAMRAAMは真下に投下されるが
実際には高速で真下に射出される。



AMRAAMをメイン・ウェポンベイに搭載中で、作業に
はMJ-1低姿勢兵器積載車両が使用されている。


AIM-120Cアムラームを垂直(真下方向)に発射した
F-22A。




・JDAM(Joint Direct Attack Munitions)統合直接攻撃爆弾
1983年にF-22A(ATF)の開発を主導したSPO(ATF開発計画局)は、制空戦闘機としての開発に加え
て、PGM(Precision Guided Munition)精密誘導兵器の運用も視野に入れたMultirole Fighter(多用途
戦闘機)として開発する方針に変更しており、それに伴い要求仕様の変更が行われた。 当初は、部隊
配備が開始されたGBU-15B電子光学精密誘導爆弾の搭載が検討されたが、赤外線画像データー
リンクシステムの装備が見送られた為、GBU-16レーザー誘導爆弾等が搭載兵装候補に挙げられた。
1992年より、無誘導通常爆弾をPGMに改造するキットの設計がボーイング社で進められ、全天候型
精密誘導爆弾JDAMが開発された。JDAMは、既存のMk80系弾頭にGPS/INS誘導装置、ストレイキー
(姿勢安定翼)からなる改造キットを取り付ける事により、レーザー誘導爆弾の様に天候や悪条件の
環境に影響されない、汎用性、コストパフォーマンスに優れたPGM(精密誘導兵器)となった。
誘導方式は、GPS(Global Positioning System)全地球測位システムとINS(Inertial Navigation System)
慣性航法装置との併用式で、尾部に後付けされる操舵尾翼と弾頭部中央に取り付けられるストレイキー
(姿勢安定翼)で目標まで誘導され、射程は最大で高度40000フィート(12200m)から24km、CEP
(Circular Error Probable)半数命中界は10m以内を達成する。
1994年に開発中のJDAMを、F-22Aのメイン・ウェポンベイに搭載出来るように改修が行われMk83弾頭
1000ポンド(454kg)を使用したGBU-32(V)1/B JDAM
(*14)を2基搭載可能となっている。
JDAMは、1997年から米空・海軍に部隊配備が開始され、F-22Aではレーザー誘導並みのCEP3mを
発揮するJDAM-PIP(Product Improvement Program)の搭載も予定されている。JDAM-PIP(兵装改良
プログラム)は、中間誘導をGPS/INS誘導装置を使用し、終末誘導を赤外線画像シーカーで行うもので、
赤外線画像の誘導制御は他の支援機が行う。

対地・爆撃ミッションでは、メイン・ウェポンベイに2基のJDAMと2基のAMRAAMが搭載可能で、その場合
AMRAAM用のランチャー(発射装置)LAU-142/A(AVEL)は、メイン・ウェポンベイ左右合わせて4基分
が取り外され、換わりにEDO Corporation(エド・コーポレーション)社製JDAM発射投下装置SWARMER
(Smart Weapons Array Modular Ejector Rack)が2基装着される。SWARMERは、F-16等に使用されて
いた兵装搭載装置(パイロン)BRU-57の発展改良型で、JDAMは直接SWARMERのBRU(Bomb Rack
Units)47/Aラックユニットに取り付けられて投下される。 BRU-47/Aは、F-15Eにも使用されている
システムで、全長は0.91m、横幅が0.08m、全高が0.18mで重量は39kgとなっており、、目標のGPS
(位置情報)は、CIPよりMIL-STD-1760データー・バスを介してJDAM(GBU-32(V)1/B)に入力される。

(*14)JDAMは、弾頭重量別にMk84(2000ポンド級)はGBU-31(V)1/B(空軍仕様)、GBU-31(V)2/B
(海軍仕様)。BLU-109(2100ポンド級)は、GBU-31(V)3/B(空軍仕様)、GBU-31(V)4/B(海軍仕様)。
Mk83(1000ポンド級)は、GBU-32(V)1/B(空軍仕様)、GBU-32(V)2/B(海軍仕様)。BLU-110 (1000
ポンド級)は、GBU-35 1/B(海軍仕様)。Mk82(500ポンド級)は、GBU-38(空/海軍仕様)。F-22Aでは、
Mk83(1000ポンド級)弾頭のGBU-32(V)1/B(空軍仕様)を搭載可。
GBU-32(V)1/B(JDAM)は、Mk83通常爆弾に
画像のグレーの部分が後付される。後部の操舵
尾翼前にGPS/INS慣性航法装置が収められて
いる。


F-16で使用されているBRU-57発射投下用の
パイロンで、F-22Aは発展改良型SWARMER
が装備される。



SWARMERでJDAMを直接保持するのがBRU
-47/Aラックユニット。上が1000ポンド級用の
BRU-47/Aで下が500ポンド級BRU-46/A。




JDAMを搭載する場合、画像のAMRAAMが装着
されてない2基のAVELが取り外され、換わりに
1基のSWARMER及びBRU-47/Aラックユニットが
取り付けられる。画像はメイン・ウェポンベイの右
半分で左半分も同じで計2基のJDAMが搭載可能。





・M61A2 20mmバルカン砲
F-22Aでは唯一の固定武装となっているM61A2 20mmバルカン砲は、ジェネラル・ダイナミクス社製で
A2はM61をベースに6砲身のバレル(銃身)を発射速度を向上させる為に細くし、砲尾の給弾機構を改良
して軽量化したタイプ。 胴体右側の主翼付け根上部に装備されており、M61A2 20mmバルカン砲
ユニット本体、LLAHS(Linear Linkless Ammunition Handling System)リンクレス給弾システム、480発
ドラム弾倉、HDS(Hydraulic Drive System)油圧駆動システム、Gun door/Gun port and Gas Purge
System(ガンポート開閉装置)からなるシステム・ユニットである。480発ドラム弾倉は、使用による重心
変化の影響を無くす為胴体中央部に位置し、右主翼付け根胴体側には排莢を収納する箱が備えられて
いる。有効射程は空対空射撃では800m、対地射撃では1500m、最大発射速度は4000発/6000発/分の
切り替え式で油圧駆動式の為最大発射到達時間は電気式駆動に比べて0.7秒も早い0.3秒を発揮する。

F-22Aの固定武装M61A2 20mmバルカン砲。
画像の白い部分がLLAHSでベルトコンベア式
となってドラムマガジン(弾倉)から給弾する。


・その他の兵装システム
F-22Aの搭載する兵装では、SEAD(Suppression of Enemy Air Defence)敵防空網制圧作戦に使用
されるAGM-88 HARM(High-Speed Anti-Radiation Missile)高速対レーダー・ミサイルを搭載可能で、
米海軍が現在開発中のアップグレードHSARM(High-Speed Anti-Radiation Missile)が2007年頃配備
される予定で米空軍でも採用予定。また米空軍が、主にステルス機に搭載する事を予定して開発が
進められたSDB(Small Diameter Bomb)小直径爆弾は、ボーイング社が開発中のGPS/INS誘導方式
の全天候型MMTD(Miniaturized Munitions Technology Demonstration )250ポンド小型爆弾を8基搭載
可能となっている。
尚メイン・ウェポンベイに搭載されるAIM-120C AMRAAM、JDAM、AGM-88 HARM等は、F-22Aの
最低地上高が他の軍用機より低い為、専用のMJ-1低姿勢兵器積載車両を使用して行われる。




■[F-22Aラプター 機体性能諸元]


F-22A 上(上面図) 下(側面図)
Lockheed Martin/Boeing
U.S.Air Force Air Dominance Fighter F-22A Raptor
制式型式 YF-22(PAV-1/2) F/A-22(F-22A)
全長 19.56m 18.92m(*1)
全幅(翼幅) 13.11m 13.56m
胴体幅 - 5.74m
水平尾翼幅 - 8.84m
胴体後部パドル幅 - 3.23m
主翼面積 78
78.04
全高 5.41m 5.08m
自重 13608kg 14365kg
最大離陸重量(*2) - 27216kg
最大離陸重量(*3) - 36300kg
エンジン・サプライヤー Pratt & Whitney(*4) Pratt & Whitney
型式 YF119 F119-PW-100
超音速巡航飛行時 - 25000〜29000lb×2
最大推力(米空軍公表値) - 35000lb×2
最大推力(P&W社公表値) - 39000lb×2
超音速巡航 マッハ1.58 マッハ1.58
最大速度
(アフターバーナー・モード)

マッハ1.7(実用)/9150m
マッハ2.0
(*5)
マッハ1.8(*6)


最大上昇限度 - 15240m
離陸距離 - 1065m
戦闘行動半径(空中戦時) - 1200km
戦闘行動半径(最大) - 1440km
フェリー飛行時 - 3220km
機内燃料搭載量 - 11400kg
G限界 +7.9G +9G
乗員
1名
1名(A/C型)
2名(B型)
(*7)
初飛行 1990/9/30 1997/9/7
調達機数
2機
EMD機9機(A型)
量産機339機(予定)
兵装 [固定武装]
M61A2 20mmバルカン砲×1門(携行弾数480発)

[サイド・ウェポンベイ(側面兵器倉)]
左右計2基搭載可
AIM-9Mサイドワインダー
AIM-9Xサイドワインダー

[メイン・ウェポンベイ(胴体内兵器倉)]
AIM-120A AMRAAM×4基(最大)
AIM-120C AMRAAM×6基(最大)

1000lb GBU-32(V)1/B(JDAM)×2基(最大)
(注)JDAM搭載時はAMRAAMは最大2基

250lb SDB×8基(最大)
(注)SDB搭載時はAMRAAMは最大2基


[外部ハードポイント装着時]
LAU-128/A rail launcher(パイロン)×4基(最大)
600ガロン外部燃料タンク×4基(最大)
AAM×8基(最大)
(注)AAM(空対空ミサイル)は各パイロンに2基
まで搭載可。

AGM-88 HARM×4基(パイロン搭載可)

(*1)ピート管は含まず
(*2)機内兵倉搭載
(*3)機外外部パイロン装着使用時
(*4)2号機(PAV-2)のみ。1号機(PAV-1)は、ジェネラル・エレクトリック社製
(*5)1990年12月28日には、初号機(PAV-1)を使用して最高飛翔速度操縦性
テストが行われ、最大飛翔速度マッハ2.0を記録。エンジンはGE社製。
(*6)米空軍公表値。ロッキード・マーティン社/ボーイング社はマッハ2.0を公表。
米空軍はこちら/ロッキード・マーティン社はこちら/ボーイング社はこちら
(*7)複座型は開発中止





■U.S.Air Force F-22A ラプター 関連ページ

■[ F-22A ラプター 航空支配戦闘機 ] ラプターの開発・機体・機体性能諸元解説
  [ FB-22 ラプター 戦闘爆撃機 ]
  [ F-22A ラプター 画像解説 ]

■[ F-22A ラプター 機体シリアル一覧 ]ラプターの機体 シリアルナンバー
  [ F-22 第27/94戦闘飛行隊 シリアルナンバー ]





2001/09/06 アップロード
2004/12/22 新規更新


Produced by Mirage






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