感情転移

カウンセリング・心理療法の過程で、クライエントが過去に出会った人物(養育者である場合が多い)に対する感情や態度を、カウンセラー(治療者)に向けることを転移と言います。
転移感情には、陽性転移と陰性転移の2種類があります。
陽性転移とは、クライエントがカウンセラーに、信頼・尊敬・感謝・情愛・親密感の感情を持つことを言います。
陰性転移とは、クライエントがカウンセラーに、敵意・不信感・攻撃性・猜疑心・恨み心などを持つことを言います。
どちらも依存的で、幼児のように、まとわりつく・からみつくといった特徴があります。
カウンセラーは、自分に向けられた転移の感情を分析することによって、治療に生かそうと努めますが、あまりに強い感情をぶつけられますと、それに巻きこまれてカウンセラー自身も、クライエントに感情をぶつけるようになります。それを逆転移といいます。(どちらも無意識下で行われることが多いです)

カウンセリングを行なっていると、多かれ少なかれ、誰もが感情転移を起こすわけですが、クライエントの多くは、それを理性で抑えます。
理性で抑えきれなくなったクライエントは、陽性転移で言えば、カウンセラーに愛の告白をしたりラブレターを書いたりしますし、
それを本気にするようでは、カウンセラー失格です。まれに肉体関係を結んでしまうカウンセラーもいると聞きますが、私には信じられないことです。陰性転移で言えば、カウンセラーにお金を投げつけたり激しく罵ったりします。
感情転移を激しく起こすクライエントは、先週まで「先生、大好き」と言っておきながら、今週は、「先生、大嫌い」と言って来たりします。
「私は先生のことが大好きなのに、先生は、私のことを本気で愛してくれない。そんな先生なんて大嫌い」といった感じです。

尚、この感情転移は、面談によるカウンセリングにおいては適切に対応できるものでありますが、メールカウンセリングにおいては適切に対応できません。クライエントがメールを書いた時の感情とメールを受け取った時の感情が、激しく食い違っている可能性があるからです。よって、メールカウンセリングにおいて、理性で抑えきれないほど、「先生が恋しい」「先生が憎らしい」という感情が沸き起こり、それをカウンセラーにぶつけるようになったら、メールカウンセリングは終了となります。


心の金曜日