
□注意
調査における視点はあくまでも個人に依存するものであり、客観を重視しながらも恣意的な見解が含まれることを了解した上で読み進めるようお願い申し上げます。
また同時に、特定時期のみの調査であったため現行のものと変化が生じることをお断りします。
□生活態度
かつて深夜時間帯に書店員として働いていた面影は既に無く、二十二時以降に睡眠を取り起床はおおよそ七時頃のようだ。ただし日中に昼寝をすることも多く、全体的に睡眠時間は多めだ。
睡眠に関して、意識が起きている時間が長くベッドに横たわって一時間程度は眠りに落ちることが無い。おそらくは睡眠導入時において日日の反駁や何かしらの小説的思考を行っているため、意識それ自体が休息を取るまでの時間が長いのだろうと推測される。
基本的には怠惰だが、それが仕事である以上は基本的に無駄なく迅速に行う。短い期間であっても予定が重なることを嫌い、可能な限り予定や仕事は早めに消化し後の楽を取るタイプ。もっとも詰めが甘いのか、八割がたを消化するとやる気が持続せず、残り二割を最後まで残してしまう。
外出は控えめ。あるいは外出を好まない。調査に際しもっとも困ったのがこの部分ではあるが、対外的には猫を被っているのか別人のようにも思える。それが疲れるから外出しないのかもしれないが……。
□趣味範囲
唯一のアウトドア系の趣味といえば自転車だろう。ただしサイクリングが趣味ではなく、仕事場への行き来に利用している限りであるため、明確なアウトドアとは定義違いだ。一応はロードレーサーであるが、ドロップハンドルのクロスバイクという認識が正しいのかもしれない。雨天でもよく走っているのを見かける。
対象と接触の際にさりげなく聞きだそうとはするが、いかんせん趣味という言葉の定義範囲に疑問を抱いている節があり、何がどうと明確な答えは無かった。ただパソコン端末に関してはほぼ常時電源が入れられており、同じくオーディオ関連器具も電源は常に入っているようだ。
おそらくだが、対象が明確に趣味だと断言するのはオーディオくらいなものだろう。まだ一年にも満たない駆け出しではあるものの、雑多に及ぶ読書に比べれば確かに分かりやすい趣味なのかもしれない。もっとも読書にしたところで、ミステリ関連などには長く付き合っているらしいが。
ここで物書きが趣味である、と断言できるような人間なら少しは印象が違うかもしれない。
□現実視点
狷介孤高と思いきや、猫を被っている辺り狷介ではなさそうだが、あながち間違いではない。
相手の見解や意見に対して理解し納得するものの、だがそれを自身に取り入れるか否かの判断は確実に一線を引き、大きな距離を取って他人と対する場合が多い。自身が持つ見解に対して絶大なる誇りと信頼性を持っているのではなく、むしろ逆で、自分の意見が他人に伝わらずまた、それ自体が自身のエゴであることを理解した上での臆病――いや、伝わらないから黙していたほうが楽、という判断か。
そも対象は目的意識を喪失しているらしい。
細かく見ればああしたい、こうしたいなどという意思を持ちながらも、大局的に視れば実に些細なものでしかなく、日日を繋げることにさえ執着する様子を見せず刹那的で――曰く、興味が無い。その言葉に全ての意味が含まれていように思え、また対象もよくその言葉を口にする。
若き老人という言葉を思い出す。
総合して考えるに、きっと対象は後は死ぬことだけが目的のように思えた。
好悪なく大抵の食品は口にするものの、らっきょなどの酢の物は苦手のようだ。あとイクラや明太子など魚類の卵、トマトジュースやトマトスープに関しては生理的に受け付けず嘔吐を催す様子を確認した。
基本的には一日三色でかつ、間食はほぼ無し。甘いものを好むが辛いものも嫌いではない。また休日の朝食は面倒だから、という理由で食べない場合もある。もっともそれは朝食に限ったことではないが。
飲料は基本的にインスタントコーヒー。インスタントでない場合もある。また月に一度くらいのペースで缶飲料などを思いつきで購入したり、またココアや紅茶などを嗜む場合もあるようだ。朝と寝る前はほどよく温めた牛乳を飲んでいるようだが、確認には至っていない。
□総合
とかく掴みにくく、また扱いにくい人種。
独りでいることが苦ではない癖に、他人との会話に積極的ではないものの明るい言葉を交わす一面もあり。ただ自分から話題を振ったりすることが無い辺り、それが親しいか否かの基準になっているもよう。
やって出来ないことは無い――その言葉に納得しながらも、対象にはやりたいことが何一つとして存在しないようだ。あるいは存在はしたが、何故かすぐに忘却・破棄してしまう。望んではならないと思っているのか、あるいは望みたくはないのか。
何より難しいのは、いや、何より問題なのはと語頭に置こう。
調査した事柄のほぼ総てに対し、対象が自覚していながらも改善して来なかった現実が、対象自身の人となりを表しているように思う。
――調査者・姫琴雪芽