米陸軍 最新鋭緊急即応部隊 ストライカー旅団戦闘チーム(SBCT)



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■[米陸軍の緊急即応部隊]

米陸軍は、冷戦後特に湾岸戦争に代表される地域紛争の脅威度が増すと、それに対応した軍改革を随時
行ってきた。湾岸戦争後には、戦力維持又は削減したまま戦闘力を向上する、IT化を中心としたRMA(軍
事革命)が、1997年の国防計画(Quadrennial Defense Review)で顕著になる。その代表がデジタル師団
と呼ばれた第4歩兵師団である。しかし、重装備の機械化部隊では緊急時における輸送・展開力に課題が
多く、結果対応が遅れてしまう。また陸軍で緊急即応部隊として存在する空挺部隊は、装備が軽装で戦術
上の運用には機械化及び機甲部隊の支援が不可欠で単独での運用は不可能である。
この為陸軍では、空輸可能な軽量で打撃力に優れた緊急即応部隊を編成するに至る。 1999年に第2歩
兵師団第3旅団をモデル部隊として、緊急展開力と機動力を重視し、戦略・戦術輸送機に搭載可能な軽量
装甲車両を採用・配備し、紛争地帯及び作戦域に96時間以内で展開可能で司令部の情報を共有出来、ま
た緊急時には、独自に戦術情報リンクから収集した情報に基づき作戦が行えるデジタル化部隊を目指すと
している。

長らく米国の緊急即応体制は海兵隊が重きを担ってきたが、陸軍の21世紀ビジョンのプランとして提案さ
れたのは、重装備の機械化歩兵部隊と機甲部隊編成の従来型部隊(Legacy Forces)と緊急展開能力に
特化した軽装備の暫定型旅団戦闘チーム(Interim Brigade Combat  Team)に再編成し、前者は地域
紛争に対応・解決する為、後者は地域紛争初期段階における対応を主任務とし、将来的には全ての部隊
が情報を共有出来るデジタル化を施され、高機動で打撃力に優れた統合型次世代部隊(Objective The
Next Forces)に段階的に進化するとした。 陸軍では、暫定型旅団戦闘チーム(IBCT)の第一段階として
6個旅団戦闘チーム(BCT)を編成し、このBCTに配備する車両の選定にあたっては、1個歩兵分隊を搭載
可能で且つ高機動を達成できる装輪車両としコスト高となる装軌車は見合わされた。
2000年11月には、ゼネラル・モーターズ社とゼネラル・ダイナミックス社の兵器開発部門が選定され、20
02年2月に、装輪装甲車両LAV(Light ArmoredVehicle)をストライカーとして制式化し、このストライカー
を配備されたBCTは、正式にストライカー旅団戦闘チーム(Stryker Brigade Combat  Team:SBCT)と
呼称され、第1旅団戦闘チーム(First Brigade Combat  Team)とも呼ばれている。


■[ストライカー旅団戦闘チーム(SBCT)]
陸軍の緊急即応体制は空挺部隊と特殊部隊(SOF)によって担われてきたが、より脅威度の高い地域紛争
の初期段階には、柔軟な運用が可能な軽量の打撃部隊を迅速に投入する必要に迫られるが、その任務を
受け持つ事になるのがストライカー旅団戦闘チーム(SBCT)である。SBCTは米西海岸ワシントン州のフォ
ート・ルイス基地に本拠を置き、フォート・アーウィン(カリフォルニア)基地とフォート・ポーク(ルイジアナ)にあ
る陸軍ナショナルトレーニングセンターで運用評価訓練を行っている。 運用評価訓練では、戦略・戦術輸送
機C−17と戦術輸送機C−130を使用して迅速な戦場前方展開と都市型戦闘、IVIS(車輌間情報システ
ム)による戦術機動と戦闘訓練が行われ、各種情報システムから得られる戦術情報のみを利用して単独作
戦行動が行える実験演習も実施された。各種情報システムは旅団戦闘司令部が統合管理する戦術情報を
個々のストライカー装輪装甲車両で共有出来ることによってタイムラグの無い戦闘が可能で、その情報はA
WACS(早期警戒管制機)やJ−STARS(地上目標監視機)、RQ−1AティアII  プレデター無人偵察機か
ら得られるものである。2002年末には評価訓練が完了し国防総省は陸軍のSBCTの予算要求の報告書
を提出している。 また、実際の有事を想定した訓練も行われ、同じ第2歩兵師団第1・第2旅団が駐屯する
韓国に海外派遣訓練が2003年8月に行われた。これは、朝鮮半島での有事作戦行動を想定しての訓練
でC−17輸送機によって米国本土からのストライカー旅団戦闘チーム1個中隊が輸送された。このように、
機動力を重視し緊急展開能力に特化したSBCTは、今後米国が遂行する対テロ戦争にも投入され迅速な
展開力と軽装備を生かした軽快な機動力によって、敵対勢力の態勢が整う前にイニシアティブをとる為に有
効に活用されると予想される。


■[ストライカー装輪装甲兵員輸送車]
ストライカーICV(Infantry Carrier Vehicle)は、スイスのモワグ社が開発した装輪兵員輸送車ピラーニャ・
カテゴリー3・4をベースにしており、モワグ社を買収した米国のゼネラル・モーターズ・ディフェンス・カナダ社
とゼネラル・ダイナミックス・ランド・システム社(GDLS)で共同開発・生産されている。2002年2月27日に
陸軍に制式化されるにあたっては第二次世界大戦中に活躍したスチュアート S.ストライカー上等兵とベトナ
ム戦争で活躍したロバート F.ストライカー、二人の功績をたたえて命名されている。陸軍のストライカーに対
する要求基準は、迅速な緊急展開力を可能とする航空機に搭載でき尚且つ作戦域で高機動力を発揮できる
装輪装甲車で、この範囲内で出来る最大限の装甲防御力と兵員輸送力を達成できるものである。 この為、
C−130戦術輸送機に1両搭載でき、C−5戦略輸送機には最大7両、C−17戦略戦術輸送機には4両搭
載可能となっている。高機動力を確保する為には、装輪車としコストが掛かる装軌車は機動力の面からも却
下されている。ストライカーICVでは、8×8輪車を採用し舗装路で最高100km/h、路外走破力も高く最高
で60km/hを出せ、状況にあわせて8輪駆動と4輪駆動を切り替えできる。
兵員輸送車として装甲防御力はある程度考慮しなければならないが、C−130戦術輸送機の最大ペイロー
ド(積載量)との兼ね合いで重量増となる対戦車戦闘用の装甲はオプションとなっている。しかし最低限度の
装甲防御力は有しており、高硬度鋼板の上にはドイツのIBDダイセンロト・エンジニアリング社(IBD/Deisen
roth )で製造されているセラミックス製Mexas(メクサス)複合装甲パネルが装着されている。この装甲は、
2種類の特殊セラミック複合材が積層され内側の鋼板に直接溶接され全面に取り付けられており、300m
以内から14.5mm弾と155mm砲弾の至近炸裂に耐えられる性能を有する。また、直撃弾による内部剥
離を防止する米国のデュポン社が開発したケブラー繊維内張りが搭乗員席及び兵員室内側全面に装着さ
れおり乗員の生存性を高めている。この他には、対戦車地雷対策として車両下部にもメクサス装甲が装着
されているがこれは、完全に防げる物ではなく乗員の生存性を確保する物である。オプションとして、RPG-
7対戦車ロケットの直撃に耐えうるERA装甲(リアクティブ・アーマー)も装着可能だが、C−130戦術輸送
機で空輸する場合重量オーバーとなる為現地での後付式となっている。兵装はベースとなったピラーニャの
高い発展性・互換性を受け継いでおり任務と用途に応じて様々なバリエーションが開発される見込みである
(現在検討中)。 最初に陸軍に採用され主力となるのは兵員輸送車(ICV)でTVモニター付き遠隔操作武
器ステーションの台座にはM2 12.7mm重機関銃、M240 7.62mm機関銃、Mk19 M3 40mm擲
弾筒発射器のいずれか一つが取り付け可能となっている。TVモニターは、車内から操作可能で射手が体
を曝す事無く目標を攻撃でき、SBCTが都市戦闘等において威力を発揮する。また、熱線映像装置が組み
込まれており夜間の戦闘も可能となっている。 現在開発中だが、その他にはM68A1E4 105mm無人
砲塔を搭載した機動砲システム(MGS)、NBC偵察車(NBC RV)、対戦車誘導ミサイル車(ATGM)、1
20mm装甲迫撃砲車(AMC)、工兵隊車(ESV)、通信指揮車(CCV)、火力支援車(FSV)、偵察車(RV
)、野戦救護車(MEV)等が随時開発される予定である。 ストライカー旅団戦闘チーム(SBCT)に配備され
るストライカーICVには全車、中枢となるデジタル情報通信データーリンクシステムFBCB2(Force21 Bat
tle Command Brigade)が搭載され上級司令部の情報を各車両でも共有出来る。FBCB2は戦術情報シ
ステムとIVIS(車輌間情報システム)、それに付随するシステムとしてロックウェル・コリンズ社製GPS AN
/PSN-11 PLGRとレイセオン社製、Enhanced Position Location Peporting System(EPLRS)AN
/TSQ-158からなっており、戦場での友軍・敵軍の情報を統合的に表示可能で、J−STARS(地上目標
監視機)、RQ−1AティアII  プレデター無人偵察機等からの戦術情報を受信する為の衛星通信システムも
含まれている。 ストライカーICVはFBCB2システムによって司令部の命令を迅速に遂行でき、単独でも各
種外部センサーの情報をリアルタイムに入手できる為タイムラグの無い戦闘が可能で、今後創設される第
2・第3のSBCTにはより強力な兵装のストライカー及び支援車両が随時導入される予定である。


■[ストライカーICV(Stryker Infantry Carrier Vehicle) 8×8] 

[車体]
全長:6.99m 全幅:2.72m 全高:2.64m 底面高0.45m 
戦闘重量:16.43t 乗員:2名(乗員)+9名(兵員)
路上最高速度:100km/h 路外最高速度:60km/h 加速度:50m/8sec
登坂力:60% 横傾斜:30% 超提高0.58m 超壕幅1.9m 
路上航続距離:499km(搭載燃料200L) 外部燃料タンク使用時:935km

[エンジン・駆動装置]
キャタピラー社製3126ディーゼル・ターボ 出力:350hp
米アリソン社製MD3066P自動変速機(前進6段 後進1段)
8輪独立懸架式(サスペンション) 8輪駆動4輪駆動(任意切り替え)
ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)付きブレーキ
タイヤ空気圧集中制御装置CTIS(Central tyre inflation system)


[武装]
M2 12.7mm重機関銃×1(400発)
M240 7.62mm機関銃×1(3400発)
Mk19 M3 40mm擲弾筒発射器×1(120発)
3つのいずれか1つを選択可能

M6発煙弾発射機×(2〜4)

M68A1E4 105mm(MGS)×1(18発)現在開発中

[その他]
NBC兵器対策警報検知器
NBC対策乗員用フィルター付き空気清浄器 兵員用ガスマスク




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米陸軍によって制式化されたストライカー装甲兵
員輸送車。
原型となったのはスイス モワグ社が開発したピラ
ーニャ3で全世界で約8000両が使用されている
傑作軽量装甲車両である。

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画面右側に見えるのが操縦室でその横にエンジン
及び駆動ユニットが収められている。TVモニター付
き遠隔操作武器ステーションの台座横に車長席が
あり、後方に兵員室(9名)がある。ステーションの
台座に全ての発煙弾発射機が取り付けられている。

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赤い矢印が熱線映像装置つきTVモニター

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ストライカー後部 中央は兵員用乗降ハッチ

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C−130戦術輸送機より降車するストライカー兵員
輸送車

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画像はC−130戦術輸送機から降車するストライカ
ー通信指揮車(CCV)

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C−130戦術輸送機によって空輸されたストライカ
ー旅団戦闘チーム1個歩兵中隊


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米海軍高速車両貨物輸送艦アルゴル級。同艦は
最大で650両のストライカーICVを搭載可能。


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ストライカー旅団戦闘チームの訓練風景。後方に
見えるのはC−130戦術輸送機。

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訓練中のストライカーICV

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現在開発中の105mm砲搭載火力支援車(FSV)。
重量がオーバーする為採用されるかは未定。

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ゼネラル・ダイナミックス・ランド・システム社(GD
LS)で開発試験中の105mm無人砲塔機動砲シ
ステム。 C−130戦術輸送機のペイロード(積載
量)内に収めるのが目下の課題。重量18.73t

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ストライカー旅団戦闘チーム(SBCT)の弱点、対
戦車戦闘を行えるHMMWV LOSAT。軽量・低速
でも効果が変わらない成形炸薬による化学エネル
ギー弾頭が主流だが、LOSATはマッハ4で射出
されたミサイルによる運動エネルギーによって戦
車(MBT)の撃破を目指している。SBCTにも配備
される。

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高機動ロケット砲兵システムHIMARS。C−130戦
術輸送機に1両搭載可能で攻撃力はMLRS半個分
に相当する。




Produced by Mirage




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