[RQ-1A ティアII MAE プレデター]
無人航空機(UAV)で無人偵察機型(URAV)のプレデターは、米国のジェネラル・アトミックス社(General
Atomics)で開発されたGNAT-750をベースに1994年から国防省主導でプログラムが開始され1996年
にRQ-1A ティアII プレデターとして制式に米空軍に採用されている。現在は、ジェネラル・アトミックス社
から改編されたGeneral Atomics Aeronautical Systems Inc.でプレデターとその派生型が開発・製造され
ている。
プレデターは、当初偵察が主任務の目的で開発され中空域に長時間滞空出来る用に仕様が定められた。
この仕様は、国防省のUAV開発・導入計画「ティア」(*1)にそって進められており、プレデターは中高度
(Medium Altitude Endurance )7600m前後、滞空時間8〜20時間、索敵範囲500海里(約926km)
で行動できる「ティアII」に属するURAVとなっている。機体は、全長8.24m(27ft)、翼幅14.84m(49ft)、
全高1.83m(6ft)、最大離陸重量1035kg、最大航続距離740km(400海里)、巡航速度130km/h
(70kt)、最大速度216km/h(120kt)、最大上昇限度7620m(25000ft)、最大稼動時間40時間、通常
作戦高度600m(2000ft)、最大武器搭載量450ポンド(203kg)で、エンジンは、ロータックス(Rotax)
社製912−4サイクルエンジン(84hp)を搭載している。
偵察型RQ-1Aプレデターに搭載されている電子機器は、機首部下部に設置された「Versatron Skyball
Model-18」(バーサトロン・スカイボール・モデル18)と呼ばれる光学式兼用前方監視用赤外線装置
EO/FLIR(Forward Looking Infrared rays)が搭載され、広角カラーテレビ・カメラとズーム機能内蔵の
スポット・カラーテレビカメラが収められ詳細な画像分析を可能としている。 また夜間、悪天候下では
赤外線暗視カメラが使用され全天候下での偵察任務を遂行できる。この3台のテレビカメラはM18の
ターレット内に収納されており、TAS(Two-Axis Stabilizer)2軸安定化装置で常時水平が保持されて
、機体中心線から水平方向に左右各90度まで旋回し、垂直方向では機体中心線から上方5度、下方
90度まで可動する事ができる。現在では、より高性能なレイセオン社製AN/AAS-44
に変更されており
、今後製造されるプレデターには能力を向上させたAN/AAS-52MTS(Multi-sensor
Targeting System)
マルチセンサー・ターゲット・システムが搭載される予定となっている。 その他に夜間・悪天候下でも
広大な範囲を詳細に索敵が可能なTE-SAR(Tactics Endurance-Synthetic Aperture Radar)戦術滞空
合成開口レーダーが搭載されており機体側方斜め下長さ約10km、幅800mの範囲を走査(スキャン)
し画像化可能で、画像分解能は、通常モードで60cm、高度600m以下での低空索敵飛行モードでは
最高30cmの精度を発揮するという。 このTE-SARは、ウェスティングハウス・エレクトリック社製だが、
現在は、同社の電子機器部門を買収したノースロップ・グラマン社が製造を引き継いでいる。
EO/FLIRカラーテレビ・カメラ、TE-SAR等で収集された各種戦術情報は、リアルタイムでKuバンド帯通信
衛星を介してデジタル送信される。 遠距離で運用されるプレデターでは、無線操縦には限界があり通信
衛星を使用してデーターの送受信と操縦管制が行われる。
機首上部のアンテナ・ドーム内には、Kuバンド帯及びCバンド帯衛星送受信機と衛星追跡用パラボラ・
アンテナが収められている。 プレデター及び武装プレデターでは、あらかじめプログラミングされた
フライトコースを自律飛行できる能力を持っているが、汎用軽車両HMMWVを改造した地上管制
ステーションGCS(Ground Control Station)のパイロット及びセンサーオペレーターの2名でターゲットを
絞ってピンポイントで監視・攻撃が可能となっている。
(*1)「ティア」
ティアI 戦術UAV 高度4600m以下で運用、滞空時間8時間以下 パイオニア等
ティアII 高度7600m以下で運用、滞空時間8〜20時間 プレデター等
ティアIIプラス 高度8000m以上で運用、滞空時間20時間以上を想定 グローバル・ホーク等
ティアIII 戦略UAV 高度2万m以下で運用、滞空時間20時間以上 該当機無し

Photo by General Atomics Aeronautical Systems Inc |
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Photo by US.Air Force |
RQ-1A ティアII MAE プレデター機体下部
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メンテナンス中のプレデターURAV
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機首下部に設置されているAN/AAS-44ターレット
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機首部のSATCOM通信衛星用パラボラアンテナ
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HMMWVに搭載されている地上管制用GCS車両
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GCS内部、奥がパイロットとセンサーオペレーター席
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[MQ-1A Armaments Predator(武装プレデター)]
1998年頃のコソボ紛争でNATO軍の主力を担うアメリカ軍は、旧ユーゴスラビアにおけるセルビア軍の
監視活動を行うとともに、CIA(米中央情報局)やDIA(国防情報局)、米空軍情報部(AFI)はRQ-1A
プレデターを投入して詳細な偵察活動を行っている。 プレデターより得られたリアルタイム情報は、
ターゲットを的確に選別でき、精密誘導兵器を搭載した航空機との併用で絶大な成果を挙げている。
CIAやDIAの情報機関では独自に運用でき、さらに確認したターゲットをプレデター自身が攻撃できる
URAVの運用要求が高まり、米空軍では2000年より武装型のプレデターUCAVの開発を推し進める事
となる。改装は、急ピッチで行われ主翼構造の強化と2ヶ所にハードポイントパイロンを増設し、
アルミニウム合金を使用して重量の増加を最小限に止めている。この武装型プレデターは、偵察を意味
するReconnaissanceに代わってMulti-role(多重任務)のMが制式に付けられMQ-1Aとなっている。
ちなみにQは、国防総省の定める定義で無人航空機システムを意味する。搭載される兵装は、
セミアクティブ・レーザー・シーカー(SAL)を搭載しレーザー誘導されるAGMー114C型ヘルファイア
(Hellfire)対戦車ミサイルが使用され、2001年2月に試射テストに成功し、米国中枢同時多発テロ後
のアフガニスタンから実戦投入が開始され、テロリストの乗った乗用車の破壊に成功している。
C型ヘルファイアは、AN/AAS-52MTSに搭載されているレーザー照射誘導装置(Laser
Designator )と
レーザー測距装置(Laser Rangefinder)で正確にターゲットに終末誘導される。その他に、悪天候下で
使用されるレーダー誘導方式のAGMー114L ヘルファイアII対戦車ミサイル(ロングボウ・ヘルファイア)
も搭載可能だが、誘導に使用するレーダーがSAR(戦術滞空合成開口レーダー)の為ミサイルの正確な
誘導はレーザー誘導に比べて劣るものとなっている。 今後開発されるプレデターB型では、ペイロード
(積載量)が大幅に増加する為、ミリ波レーダー誘導方式シーカー(MMW)に対応できる、専用のミリ波
誘導レーダーの搭載が検討されており、完全な撃ちっ放し能力が付与されプレデター自身のサバイバ
ビリティーを向上させる。

Photo by US.Air Force |
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MQ-1A Armaments Predator 武装プレデター
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AGMー114Cヘルファイア・ミサイルを2基搭載
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アフガニスタンで展開中の武装プレデター
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第二世代最新型のAN/AAS-52MTSターレット
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[MQ-9A/B PredatorB(プレデターB)]
当初は、偵察型だったプレデターを大幅に能力を向上させ、SEAD(Suppression
of Enemy Air
Defence)敵防空網制圧作戦に投入できるUCAV(無人攻撃機)として設計段階から考慮され開発された
のが「プレデターB型」でMQ-9A/Bの制式名称が付けられている。プレデターB型は、武装プレデター
(MQ-1)の機体を大型化し搭載される兵装ペイロードを向上させ、それに伴って電子機器等を強化して
おり、完全な無人攻撃機(UCAV)となっている。機体は、全長10.97m(36ft)、翼幅20.12m(66ft)、
全高3.56m(11.8ft)、最大離陸重量4540kg、最大航続距離740km(400海里)、巡航速度130km/h
(70kt)、最大速度405km/h(220kt)、最大上昇限度13700m(45000ft)、最大稼動時間30時間、通常
作戦高度600m(2000ft)、最大武器搭載量(内部)800ポンド(363kg)、最大武器搭載量(外部)3000
ポンド(1361kg)で、エンジンは、ハネウェル社製(Honeywell)TPE-331-10T
turboprop(776hp)を搭載し
大幅に武器搭載量を増加させている。電子機器は、ターゲット索敵用に機首部下部のターレット内に収納
されているAN/AAS-52MTS(Multi-sensor Targeting System)マルチセンサー・ターゲット・システムで
昼間用の955mmTwo-colour DLTV television ズームTVカメラと昼夜間視察用のFLIR(Forward
Looking
Infrared rays)前方監視用赤外線装置(6段階切り替え式19mm〜560mm )が搭載され、目標捕捉用に
レーザー照射誘導装置(Laser Designator )とレーザー測距装置(Laser Rangefinder)が搭載されている。
その他に、戦場監視用にTE-SAR(Tactics Endurance-Synthetic Aperture Radar)戦術滞空合成開口
レーダーと武器管制用にミリ波レーダー・システムが搭載されている。プレデターB型の戦術システムでは、
GCS(地上管制ステーション)のオペレーターが指定したエリアをTE-SARを用いて走査(スキャン)し
軽車両、戦車等の識別した情報をオペレーターが脅威度の高い目標を指定してプレデターに搭載されて
いるTVカメラ及びFLIRで確認後搭載兵装で攻撃するものである。
武装プレデターB型A/Bの兵装は、ターボプロップエンジンに変更した事で大幅に最大積載ペイロードが
増加し、使用されるの装備の選択肢が多くなっている。空軍では、従来どおりレーザー誘導方式とミリ波
レーダー誘導方式のヘルファイア及びヘルファイアII対戦車ミサイルの搭載と新規に開発されている
Low Cost Autonomous Attack System(ローコスト・自律攻撃システム)を搭載し、海軍では、対潜水艦
兵装を搭載する予定となっている。LOCAAS(Low Cost Autonomous Attack
System)は、ロッキード・
マーティン社で開発された高性能小型誘導ミサイルで全長が約76cm、折りたたみ展開式翼のスパン長
が102cm重量約45kgで小型ターボジェットエンジンを搭載し最大飛翔時間及び射程距離が約30分と
約180km(100nm)、最大飛翔速度370km/h(200kt)となっており、ターゲットまでの誘導はGPS/INS
誘導され、終末誘導には自身のレーダーで捉えた目標にレーザー照射を行いレーザー反射円錐内に
正確に突入し撃破する自律終末誘導方式を採用している。弾頭部は硬目標破壊用の高性能成形炸薬弾
と軟目標(対物・軽車両・対人)用の爆発破片効果を持つFFSTK(Fragments
for soft target kill )弾頭、
SEAD(敵防空網制圧作戦)に使用されるスタンドオフ兵器では主に対レーダー施設破壊用シーカーが
用意されており、作戦任務によって任意に選択できる。
プレデターB型では、外部パイロンに8発のLOCAASを搭載可能で、SEAD(敵防空網制圧作戦)では
担当作戦エリアに滞空し対レーダー用LOCAASを用いて敵防空網を無力化させる。また移動式SAM
(対空ミサイル)を破壊する最も危険度が高いミッション、「Reactive
SEAD」(即時反応敵防空網制圧
作戦)では長時間の滞空が可能なUCAVは非常に有効な対応が可能となっている。

Photo by US.Air Force |
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Photo by US.Air Force |
試験飛行中のプレデターB 試作機3号機
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同じく試験飛行中のプレデターB
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プレデターB MQ-9B 初期量産タイプ
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ヘルファイア・ミサイルを搭載したイメージ
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Photo by Lockheed Martin Corp. |
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プレデターBに搭載予定のLOCAASミサイル
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SEAD作戦ではスタンドオフ兵器として使用される
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