日本人が自力で確立した立憲君主制





 今日の日本につながる立憲君主制は、清和天皇のときに事実上確立した摂関政治体制に始まると言ってよいでしょう。
 政治権力が、終わりなき闘争とは別の次元でお墨付きを得るというシステム。
 「権威」と「権力」の分化。
 権威と権力(と戦力)が、二つ巴
ともえ三つ巴に牽制し合って、それぞれが一定の監視と制限を受ける文治のシステム。それをこそ「立憲システム」と呼びましょう。
 そういう「近現代の憲法につらなる統治の知恵」を9世紀半ばに自力で確立することで、日本はユーラシア大陸文明から一線を画したのです。
 
 明治後半から昭和前半まで未曾有の国難。天皇に「ユーラシア大陸風の絶対君主」をだぶらせようとする日本人が主流を占めていく時代の急変がありました。天皇の絶対君主化は、清和天皇以来1千年以上も続いていた日本の立憲君主の伝統をくつがえすもので、皇室は大きな危機に瀕することになりました。
 
 ひとつらなりの熱い戦争が終わり、不安定な2つの世代が続きました。
 それに続く世代は、いずれの国にも「国家元首」が設けられているという、ごくごく当たり前のことをようやく再発見するでしょう。そして、千五百年以上の「時の試練」を経てきた天皇が、日本国憲法でも国家元首の役割を果たし続けているということを、ようやく教科書に書けるようになるでしょう。
 
 皇室のありかたを考えるとき、何よりも大事なのは、日本が歩んできた長い歴史への信頼ではないかと思うのです。

 

 敬宮としのみや愛子さまご誕生おめでとうございます
          



君とゆく那須の花野にあたらしき秋草の名を知りてうれしき
 お二人の仲むつまじさが、読み手の心にもおだやかに伝わってきます。風にそよぐ可憐な草花を見つめる瞳が見えてくるようです。
 草花の名を教えてもらった、そんな素直な歓よろこび。ことばが人を幸せにする瞬間です。
 皇太子妃殿下雅子さまの、平成13年の歌会始うたかいはじめのお歌です。お題は「草」でした。
七年ななとせをみちびきたまふ我が君と語らひの時重ねつつ来ぬ
 雅子さまの平成12年のお歌。お題は「時」でした。
 
 平成14年の歌会始のお題は「春」。
 皇室と国民の春のよろこびを雅子妃殿下がどんなふうにうたわれるか、心待ちにしています。
 
 コラム子が毎年たのしみにしているのが、秋篠宮妃殿下紀子さまのお歌です。
草ふかき山の斜面なだりをのぼりきて苗木を植うる土あたたかし
朝の池うすらにあをくとざしたる氷の面おもてすきて光れり
  それぞれ平成13年と11年のお歌。雅子さまのお歌が思いのほか大ぶりなのにくらべて、紀子さまのお歌は繊細で、それぞれにお人柄がしのばれます。
 
若菜つみし香にそむわが手さしのべぬ空にあぎとひ吾子あこはすこやか
  「あぎとふ」とは「幼な児があごを動かして片言を言う」こと。
 春の香りに染まった手を 差し伸べると、 喃語なんごで応えるわが子。健すこやかなれとの願いで心は一杯でした。
 昭和36年1月12日の歌会始、ときの皇太子妃殿下、いまの皇后陛下のお歌です。
 
 内親王さまのご誕生、心からお祝い申し上げます。
 (平成13年11月23日および12月1日のメールマガジン後記より転載。)
 
<後記>
 平成14年の歌会始で皇太子妃殿下は愛子さまご誕生の喜びをこのようにうたわれた。

れいでしみどり児のいのちかがやきて君と迎ふる春すがすがし