現代の特権階級たち


目次
 
「特定郵便局長」の賃貸料天国  (平成17年8月1日配信)
 
成田空港のエイリアン  (平成17年7月24日配信)
 
 

 「特定郵便局長」の賃貸料天国

【平成17年8月1日配信】
   
 もう時効になったろうから書いてもいいと思うが、商社の仕事で一度だけ「郵便局」の世界に遭遇したことがある。
 
  謎の訪問者たち ■
 
 プラントを輸出する企業なら、かならずお世話になる公的融資機関がある。 
 東南アジアの○○国に発電所を建ててしばらくしてからのことだ。この公的融資機関の人が申し訳なさそうに電話してきた。
 
 「泉さん、○○国の◇◇発電所に 5名ほど訪問させていただきたいのですが。お客さんの了解をとっていただけないでしょうか」
 「お安いご用です。いつですか?  車をお出ししますよ。 邦人の駐在員同行はちょっと無理ですが、現地社員を同行させましょう。万一何かのことが起こったときのために」
 「いえ、泉さん、とんでもありません。すべて わたくしどもでアレンジします。発電所の訪問許可だけ客先から取ってほしいのですが」
 「そうですか。ご遠慮なさらなくていいんですけど。……とこ ろで、訪問されるのは、どなたですか」
 「それがね…… 郵便局の人たちなんですよ」
 
 え?  何、それ?
 
  郵貯人間の物見遊山 ■
 
 まだ郵政省があったころだと記憶するが、さだかでない。それにしても、何で郵便局の人たちが海外の発電所を見に行くのか。
 
 プラント代金の大半をまかなう、日本からの公的融資の資金源の少なからぬ部分が、郵便貯金から回りまわって来ているからだ、というのだ。
 郵便局からの資金が有効に使われていることを見せるために、郵便局の人たちに○○国の◇◇発電所を訪問していただく、というわけ。
 
 へえ、特権階級だね、郵便局の人たちって。
 どうせ物見遊山だろうよ。
 
  発電所見てどうするんだい。
  高い煙突の下で炭坑節でも踊って宴会かい?
と茶々を入れたくなった。
 
 公的融資機関で働くわが友がかわいそうだった。郵便局の皆様をご接待とはね。
 
 郵便貯金が、普通の民間銀行になれば、こういう時代錯誤は金輪際(こんりんざい)なくなるだろう。
  郵便貯金の世界にいまも蔓延(まんえん)しているであろう特権階級気分には、鉄槌(てっつい)を下さねばならぬ。
 
  庄屋さんが局長さんになった ■
 
  全国津々浦々に約1万9千人いる特権階級。(平成17年6月末の数字では 18,922名。)
 「特定郵便局」の局長さんたちである。
 郵政民営化に激しく反対している人たちだ。
 
  激しく反対するということは、よほど旨みがあるのでしょうね、と考えるところからスタートするのが常識というものだ。
 
 特定郵便局って、何?
 
 明治時代に郵便の制度を作るとき、江戸時代からの飛脚その他の運送業者にうまく転業・転職してもらったことはよく知られている。
 だが、全国にネットワークを作るためには、それだけではすまなかった。
 
 全国の村々に郵便局を公費で一気に設置するのはたいへんだ。そこで、庄屋(しょうや)さんのような町々村々の名士に、自宅の一部を郵便局へと改造・転用してもらった。
 これが特定郵便局。庄屋さんが、特定郵便局長さんに生まれ変わった。
 
 政府はこのご恩をしっかり忘れず、基本的に特定郵便局長の地位は親から子へと世襲された。
 現在では「公募制」になってはいるが、赤の他人が突然に特定郵便局長になるということは、まずないそうだ。
 
  月々35万円のアブク銭 ■
 
 国の事業のために自宅のスペースを供出するとは、簡単にできることではない。
 何と尊(たっと)い、無私の心をもった人たちなのでしょう、特定郵便局長さんって!
 
 ……てなことが、世の中にあるわけないでしょ。
 そんなみごとなボランティアが、世襲で1世紀以上も続くわけがないでしょう。
 
 特定郵便局長さんは、公務員扱いで給料が支払われる。
 まあ、これは当然です。
 
 それに加えて、特定郵便局長さんが郵便事業のために提供する自宅スペースには、潤沢な賃貸料が支払われている。
 全国1万9千ヶ所の特定局長さんの自宅スペース借上げのために、年間総額どれだけのお金が支払われているでしょうか。
 
 何と、800億円を超える金額が賃貸料として支払われている。
 単純に割り算しても、局長さん1人あたり毎年421万円が、公務員としての給料とは別に支払われているわけだ。
 取りっぱぐれのない月々の家賃収入35万円なり、ということになる。
 
 たかる人々は、公私の区別を忘れ ■
 
 とうに減価償却しきっている敷地と家屋だろう。 
 大都市圏を除けば、特定郵便局のすぐ近くに空き家、空き地が
ごろごろあるはずだ。
 
 断言してよいが、民間企業にやらせればタダ同然で手ごろな空き地を借りて、耐震・耐火・安普請の局舎をつくり、ウン百億円の経費削減ができるだろう。
 
 特定郵便局長という世襲の特権階級が得ている報酬は、少なくとも賃貸料部分はアブク銭だ。
 アブク銭あるところ、必ずこれにたかるのが代議士さんである。
 
 自民党の野中広務(ひろむ)が、特定郵便局長を集めて自民党への選挙協力を公然と要請する風景が、テレビニュースになっていたことがある。
 せめてコソコソやってくれよな、と言いたかった。

 ただでさえ忙しい(はずの)特定郵便局長を自民党の選挙奴隷としてこき使うという公私混同の極み。
 そういう社会の恥部を堂々とテレビニュースにさせて恥じることのない、郵政(=放送行政)のドン、野中広務。
 
 公と私を分かつ座標軸が、完全に狂っているではないか。
 
 野中代議士は特定郵便局長を前に何と講釈を垂れたのか。
 おおかた、
「自民党が負けたら、てめぇらがもらっているアブク銭も、もらえなくなるかもしれねぇんだぞ。わかってるだろうな」
というようなことを、京都弁でしゃべっていたのだろうか。
 
  「特定郵便局」を「簡易郵便局」に統合せよ ■
 
 郵便局には、大きく分けて3つの種類がある。
 
 数がいちばん多いのが、今回槍玉にあげている「特定郵便局」。
 平成17年6月末現在で全国で 18,922 ヶ所あった。
 
 局舎を公費で建て、局長の人事異動がある普通の郵便局、すなわち「普通郵便局」。
 これが全国に1,308ヶ所ある。
 
 残りが「簡易郵便局」で、全国に4,447ヶ所。
 ほら、スーパーマーケットや大学構内にある郵便局。
 あるいは、市町村役場の支所や農協などに同居している郵便局。
 民間人や地方公共団体に業務委託している郵便局だ。
 
 さて、民営化後の郵便局のあり方。
 
 それは「特定郵便局」を全て「簡易郵便局」にし、特定郵便局長をただの会社員にすることから始めるべきである。
 
  カネの動きの合理化で日本の活力を維持 ■
 
 ふつうの民間企業では、転勤可能な人は転勤不可の人より高い給料をもらうのが当たり前だ。
 
  これまで特定郵便局長という特権階級だった人も、明日からはただの郵便会社の幹部社員だ。
 転勤が嫌なら、それもけっこう。しかし給料はそのぶん、下げさせてもらう。
 
 国費で借り上げていた局舎の賃貸料も、その土地土地の相場に合わせて見直しが必要だ。
 もし、安い物件が他にあるのに、「特定郵便局長」が自宅スペースの賃貸料値下げに応じなければ、どうすべきか。
 
 郵便会社としては局長さんに一定のリフォーム代を「手切金(てぎれきん)」として支払って、安い物件を利用した新局舎を設けるべきだ。
 
 郵便貯金や郵便保険も、場所によっては地方銀行に業務委託する、といったことをやってもいいと思う。
 
 郵政民営化によって、カネの動きの合理化が促進されることを願ってやまない。
 それが、少子高齢化のなか、日本の活力を維持することにつながるからだ。
 だから、国会の中国奴隷たちが、郵政民営化に反対するわけだ。
    
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▲ 読者メール ▼
 
 沖縄市浦添市にお住まいの読者の方から8月2日にメールをいただきました。
 
≪特定郵便局については、おぼろげに知っていたつもりでしたが、8月1日号のコラムを読んで目からウロコが落ちました、何枚も。
 
国民の血税の使われ方を国民が知らないということは、単なる無知というよりむしろ犯罪への加担のようなものだと悟りました。
 
◎ 山の郵便配達の世界 ◎
 
「郵便局」というと、われわれは小さい時からある特別のイメージを知らず知らずのうちに刷り込まれているような気がします。
 
『山の郵便配達』という中国映画を見ました。
 
中国の山間部で、自宅を基点に山や川を越えて何百キロも離れた家に徒歩で郵便を配達する老いた父の仕事を、息子が継いでいくという感動的なドラマです。
 
「特定郵便局」のイメージはまさにこのイメージでしょう。
 
そうは言っても、まさかこの映画の主人公のように、金のためでもなく出世のためでもなく、便りを待つ人々にただ黙々と郵便を届け続け、字の読めない人には代わりに読んでやり、村の人々と郵便配達員との心の交流はまさに感動モノ……
 
……てなことが日本の「特定郵便局」にあるわけはないとは思っていましたが、それにしても全国平均で月額35万円の賃貸料支給とは、ひどい話です。≫
 
 
   成田空港のエイリアン

【平成17年7月24日配信】 
 
 いわゆる今はやりの言葉で言えば「織り込み済」だったから、とはいえ…。 
 これほどの理不尽が、さして騒がれもせず、あっさりと忘却の彼方に消えようとしている不思議。
 コラム子は、素朴な怒りでいっぱいなのに。
 
  「わがまま」につきあうためのコスト ■
 
 成田空港に、長さ 2,180メートルの暫定滑走路がある。
 大型機の離着陸のために、2,500メートルに伸ばしたい。
 
 旅客ターミナルがあるのはその南西側。
 南北方向に横たわる暫定滑走路は、当然、南へ延ばしたい。
 
 ところが、これを北側へ延ばして 2,500メートルにすることが決まった。7月15日のことである。小学生が見ても、おかしな拡張計画だ。
 理由は、南に滑走路を延ばしたいのだが、そこに「反対派住民」の家が1戸だけあるから。
 
 「わらわは、補償金と引き換えでも引越しは嫌ぢゃ」
と言って居座っているのである。
 
 このワガママに付き合うためのコストがすごい。
 
 「反対派住民」とやらが立退(たちの)きに応じて、本来計画のままでいけたなら、工費は
            約190億円。
 ところが、「反対派住民」の家1戸が邪魔をして、なんと
            約330億円
に膨らむのだという。
 
  「わらわは、嫌ぢゃ」の特権階級 ■
 
 「反対派住民」1戸の好みのために、余分なカネを140億円も負担しなければならないのだ、成田空港の利用者は。
 いったいいかなる特権階級なんでしょうかね、この反対派住民
という人は。
 
 この人が「わらわは、嫌ぢゃ」と言うばかりに、140億円が飛んでいく。
 それだけではない。
 空港全体の形が、いびつになるから、騒音地域も拡大する。
 本来の計画に比べて、暫定滑走路がターミナルから 320メートル遠くなるから、すべての航空便の発着時に滑走路・ターミナル間の移動時間ロスが増える。
 燃料ロスも出る。地球温暖化を促進する!
 
  この「根回しの国」日本で、空港を三里塚に作ることをほとんど唐突に決めてからの最初の一時期の「ボタンの掛け違い」は有名な話だから、ここでは省略する。
 
 社会にキズがぱっくり開いた。
 道端のウンコにたかるハエのように左翼暴力団が乗り込んだ。
 エイリアンが人間の内臓を食い尽くすように、左翼暴力団は反対派住民の内臓を食い尽くした。反対派住民というのは、皮1枚であって、なかみは暴力団である。
 
 「過激派」ということばの甘っちょろさ ■
 
 世の中では、あいつらのことを「過激派」と呼ぶ。
 
 ふざけんな。
 「過激派」なんて甘っちょろい言葉を広めたのは、どこのどいつだ。
 
 あなた、山口組のことを、「過激派」と呼べますか?
 ヤクザのことを、そんな甘っちょろい言葉で呼べるか!
と思いませんか。
 
 「過激派」というのは、ほんらい
「あの女優は過激派だね。ときどきブラジャーがぽろりと取れちゃうんだ」
ていどの使い方をするものでしょう。
 
「演技派女優」、「過激派女優」…。
 
 あるいは、
「亀井派は、ずいぶん過激派だね。解散を受けて立つ気はないくせに、口だけは達者ですな。まあ、政治家だから当然か」
ていどに使うものでしょう。
 
 反対派住民の「人体の皮」をかぶった暴力団を、ハレンチ学園よろしく面白おかしく「過激派」と呼んで甘やかしてきたマスコミが、成田空港反対派を増長させて、問題をこじらせてきたのだ。
 
  暴力団にひれ伏すマスコミ ■
 
  マスコミは暴力団にひれ伏している。
 
 『東京新聞』平成17年7月16日号。
 成田通信部・宮本隆康記者と経済部・村上豊記者が解説を書いているのだが…
 
≪「ここまで完成したんだから、空港の存在自体は否定しない。でも、国がどけと言ったら、どかなきゃいけないのか」。未買収地の七割を所有する最大地権者の男性は、用地売却に応じない理由をこう話す。≫
 
 ほお、この地権者さまとやら、ほんとに特権階級ですな。 
 当方は、左翼暴力団もあがめたてまつる日本国憲法に基づいて制定された法律・条例に基づき、補償と引き換えに立ち退いてください、と言っているのだ。
 
 その辺、地権者さまに ヘェコラせず、もう少し突っ込んだらどうだ、東京新聞よ。
 
≪これまでの交渉では金銭や職業などの補償条件が用意されたが、男性は「金の問題ではない」と受け入れていない。騒音対策で暫定滑走路の早朝深夜の運用制限に踏み切ったことも、男性を軟化させられなかった。≫
 
 駄々っ子をあやすにはどうすればいいか、を議論しているわけですな、ハイ。
 
≪「彼にとっては、まだ誠意ある謝罪はされていない。『空港は必要だから移転してくれ』という論理は、玄関を飛ばして家に入るような無理な話。その前に過去の問題を決着しなければ」。かつて反対派農家と交渉した関係者はこう分析する。≫
 
 おいおい、俺たちはまだ玄関にいるのかね。
 今は昭和何年だったっけ?
 ……。
 
 特権階級さまを腫れ物のごとく扱う、過保護の極み。 
 東京新聞の解説記事には、けっきょく「反対派農家」への批判の言葉は1語もなく、過去の空港公団や運輸省についての批判を蒸し返して終わっている。
 
 こういう「おだて記事」に囲まれて育ち、人間がすっかりおかしくなったのが、反対派だろう。
 ただでさえ内臓は暴力団に食い尽くされているのに、顔面は全国のマスコミに甘やかされて日本一のワガママ坊やだ。
 
  せめて世論調査をやってくれないか ■
 
 「イラクへの自衛隊派遣」や「郵政民営化関連法案」のことでは、さんざん世論調査をやるマスコミ。
 しかし、「わらわは嫌ぢゃ」で140億円+アルファの歴史的
損失をもたらすバカ男が
               ○  か  ×  か
世論調査をやったマスコミがどこにいる?
 
 あれほどキャンペーン好きな日本のマスコミなのに、なぜ成田空港問題では左翼暴力団にひれ伏すのか。
 せめて、
「弊社は山口組よりも左翼の化け物のことがこわいので、成田空港問題ではまともな報道ができません。読者の皆さん、そのつもりで紙面を読んでやってください」
と率直な社告を出してくれないか。
 
 それだけでも、成田のワガママ坊やに冷水を浴びせる助けになるだろう。
 
 それから、羽田空港にもう1本滑走路を増やそうとすると、いくらかかるのかも、教えてほしい。
 飛行時間5時間以内の近距離線は、ほんらい羽田空港から飛ばすべきだというのが、コラム子の信念。(横田空港でもよいが。)
 ほんとは、成田の暫定滑走路北側延伸のための330億円も、羽田に投じたほうがよい。
 
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▼読者メール▲
 
千葉市にお住まいの読者の方から7月26日にメールをいただきました。
 
≪7月24日号「成田空港のエイリアン」を読みました。
反対派住民が立ち退かないために大幅アップする成田空港の工事費。
金額の多さに驚いています。騒音対策もいっそう大変なんでしょうね。
 
数年前、勤務先で原子力事業部に在籍し、廃棄物処分について諸外国の基準や国としての取組体制等を調べたことがあります。
 
スウェーデンでは、最大多数(?)の幸福が優先され、それによって転居等しなければならない場合は、転居するのが当然、という考え方だったと記憶します。
 
土地を買い取るときに、価格の特別な上乗せ等はしないというものだったと思います。(かなり曖昧な記憶ですが、) 
こうしたシステムであれば、日本のように「土地成金」が出ることはないし、いわゆる「ゴネ得」のようなものもありえないのだなぁ、と感じたのを思い出します。
現状がどうなのか再確認はしていませんが。
 
土地買収において、もしかりに土地価格の特別な上乗せを行うとすれば、それはけっきょく他の住民の税金を横取りするに等しいことでしょう。
 
ところが、日本ではそういう視点で光を当てた報道はなされない。土地買収される側がひたすら弱者、というような報道になりがちです。
 
◎ 心でっかちな日本人 ◎
 
一般に、日本人は和を尊び、西洋人は個人主義的、といったことが言われがちです。
 
しかし、学生時代にホームステイした米国人家族の生活(教会の清掃や、寄付のための奉仕活動に非常に熱心。街もきれい。)を思い出すと、そこにはじつにみごとな「和」があり、親切心が輝いていました。
 
その一方で、日ごろポイ捨てを躊躇なくやってしまう日本人の姿があるわけで、そんなところに個人しか見えていない日本人を感じることもあります。
 
最近、山岸俊男著『心でっかちな日本人 ―― 集団主義文化という幻想』などを読んで、自分が今までいぶかっていたことを率直に指摘してくれていて、ああ、日本人は逆にかなり個人主義なところもあるよねぇと、共感を覚えるところもありました。
 
「国民性」の議論は、あまり乱暴に一般化してしまうと危険だということは、心しておくとして。
全ての米国人が、私の出会った家族のような人々であるわけでもありませんし。
 
とりとめもなく書いてしまいました。今後のご活躍お祈り申し上げます。≫